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水中インフラ点検の技術確立へ、自律型無人探査機と「みちびき」活用…政府が防波堤で実証実験

読売新聞 / 2024年9月2日 15時0分

 政府は、自動で水中を航行できる「自律型無人探査機(AUV)」と、日本版GPSと呼ばれる準天頂衛星「みちびき」を活用し、防波堤の老朽化を調査する実証実験を始めた。AUVによる水中インフラの点検技術を確立させる狙いがある。新たなビジネスモデルとして、国産AUVの市場拡大につなげたい考えだ。

 実証実験は、AUVを保有する民間企業と島根県が共同で内閣府の事業に参加する形で行われている。同県隠岐の島町の漁港にある防波堤を対象に、水中の破損や劣化の状況などをデジタルデータとして取り込み、「3次元モデル」として再現する。隠岐の島町が選ばれたのは離島で実験が行いやすく、水中インフラの点検ニーズがあったためだ。

 政府は、AUVを2030年までに実用化する方針を掲げている。水中インフラの点検技術が確立されれば、海底ケーブルや将来的な導入拡大を見据える「浮体式」の洋上風力発電でも、同様の技術を使えるメドが立ち、民間企業の新規参入につながるとみている。

 実験では、AUVが水中の防波堤に向かって音波を出し、その跳ね返り方で破損や劣化などを計測し、3次元データを取得する。並行してカメラを搭載した別の水中ロボットでも細かい損傷を確認する。

 水中インフラの点検では、発見した傷の経年変化を調べるケースも多く、高精度の位置情報が必要となる。高精度の測位が可能な「みちびき」を活用することで、取得データの精度や信頼性の向上を図る。

 実験では、みちびきが電波を発出して海面上で中継する役割を担う無人艇の位置を特定し、点検箇所の正確な位置を伝える。AUVは音波による水中通信を通じて、無人艇から位置情報を取得する。

 水中インフラは通常、潜水士が潜って点検しているが、今後は人手不足で点検が追いつかなくなることが懸念される。政府はこうした状況を踏まえ、AUVなどの導入を通じて点検の省人化も図りたい考えだ。

 ◆自律型無人探査機(AUV)=「Autonomous Underwater Vehicle」の略。人が操作する必要がなく、水深6000メートルまで探索可能な機種もある。広範囲の海域で活動でき、「水中ドローン」とも呼ばれる。1機当たりの製造コストは数千万円から10億円を超えるものまで幅がある。

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