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陸上短距離「二刀流」川上秀太、フィニッシュ解禁で僅差の銅メダル「うれしさ1の悔しさ9」

読売新聞 / 2024年9月2日 14時7分

陸上男子100メートルで銅メダルを獲得した川上秀太選手(1日、パリ郊外で)=ロイター

 【パリ=松本慎平】パリ・パラリンピックは1日、視覚障害を持つ選手の陸上男子100メートルで、初出場の川上秀太選手(25)が10秒80を出して銅メダルに輝いた。日本パラ陸上競技連盟によると、視覚障害クラスの短距離でのメダルはソウル大会以来、36年ぶり。健常者の大会で10秒61の記録を持つ「二刀流」アスリートでもあり、「うれしさ1の悔しさ9。パラの世界記録と健常者の日本選手権出場を目指したい」と声を弾ませた。

交通事故で視神経を損傷、大きなストライドに強み

 予選は全体3位で突破し、決勝は1メートル82の体格を生かした大きなストライドで後半に加速。ゴールで胸を突き出す「フィニッシュ」を決め、0秒005差で豪州の選手に競り勝った。フィニッシュは脚に負荷がかかるため昨年のレースで負傷して以降は封印していたが、満を持して解禁した。

 小学3年の時の交通事故で視神経を損傷し、両目とも景色の一部が見えない。球技は難しいだろうと、中学から陸上を始めた。高校時代は「がむしゃらに全力で走るだけ」で、100メートルのベストは11秒55と「普通の選手」だった。

大学で才能が開花、陸上部監督「目つき変わった」

 才能が開花したのは、2017年春、地元の福井工業大(福井市)に進学してから。元短距離走者で陸上部監督の内藤 ひかりさん(37)から、力の出し入れなど速く走るコツを教わった。ウェートトレーニングで体作りを強化すると、タイムは大学2年で11秒14、4年で10秒95と、0・6秒も縮まった。「部内で先に10秒台を出す選手がいて、目つきが変わった」と内藤さんは振り返る。

 「健常者と同じ舞台で戦うのが当然」と思っていたが、3年の時に障害者スポーツをテーマにした内藤さんの授業で意識が変わった。ボッチャなど年代や障害を問わずに楽しめるスポーツのイベントを主催する内容で、参加者の子どもや高齢者の笑顔を見て肩の力が抜けた。「出られる試合が増えたら楽しいだろうし、世界を目指せるかも」

フルタイムで働きながら記録伸ばす

 21年春、地元の冠婚葬祭会社に就職し、フルタイムで働く傍ら、内藤さんのもとで練習を続けて記録を伸ばした。22年の日本パラ陸上選手権で優勝した後、健常者の北陸選手権で10秒61をマーク。今年5月のパラの世界選手権(神戸)でアジア新の10秒70を出して2位となり、代表入りした。

 パリでは目標の「金メダル」に届かず、「モヤモヤが晴れない。4年後の金で 払拭 ふっしょくしたい」と、今後も理想を追い続ける。内藤さんは「二刀流で次の金メダルを目指すなら10秒3台が必要。実現できるよう応援したい」とエールを送った。

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