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59連勝で止まり悔しくてトイレに駆け込んだ里見紗李奈、負けん気発揮しパラ連覇

読売新聞 / 2024年9月2日 21時44分

バドミントン女子シングルスで金メダルを獲得し、感極まる里見紗李奈(2日、パリで)=須藤菜々子撮影

 【パリ=塚本康平、波多江一郎】パラリンピック初代女王が強さを見せつけた。2日に行われたパリパラリンピックのバドミントン女子シングルス(車いす)で金メダルを獲得し、連覇を達成した里見紗李奈選手(26)。今年は東京大会から続く連勝記録が「59」でストップするなど挫折を味わったが、持ち前の負けん気で再び頂点にたどりついた。

 決勝戦の相手は、今年4月の国際大会で敗れたタイ選手。試合は最終ゲームにもつれこむ激戦となり、逆転につぐ逆転の展開となった。相手のミスショットで勝利が決まり、何度もガッツポーズ。対戦相手と健闘をたたえ合い、日の丸を掲げると 安堵 あんどした表情を見せた。

 千葉県八街市出身。中学時代は部活でバドミントンに励んだ。高校3年だった2016年5月、交通事故で脊髄を損傷し、車いす生活に。翌年の春、父、敦さん(56)に連れられ、地元の障害者バドミントンチームの練習に参加した。

 試合をしてみると、コートを半面しか使わないのに、車いすを思うように動かせず、シャトルに追いつけない。経験者としての自負に火がつき、毎日体育館に通い、車いすで走り込んだ。より俊敏に動けるよう、ジグザグに走行してみるなど、自分なりに練習方法を工夫した。

 競技を始めて1年もたたないうちに日本選手権で準優勝し、日本代表に選ばれた。パラリンピックで初めてバドミントンが正式競技となった東京大会に出場。シングルス1次リーグで中国選手に敗れたものの、以降の試合は全て勝利し、ダブルスと合わせて2冠を達成した。

 大会後も勝利を積み重ね、パラリンピック連覇への視界は良好かに見えた。しかし今年2月の世界選手権で中国選手に敗れ、東京大会から続いていたシングルスの連勝記録が「59」で止まった。悔しさのあまり、試合が終わるとトイレに駆け込んで、閉じこもった。

 「相手に研究されている。もっと見直そう」。ライバルたちは自分の得意なプレーを封じてまで「打倒・里見」対策を講じ、粘り強くなっていた。連覇にはさらなる成長が必要と感じ、再び体力強化に励み、疲れてもショットの精度が落ちないよう練習を繰り返した。

 パリ大会では、シングルス1次リーグで連勝記録を止められた中国選手と対戦し、またも敗れた。しかし慌てることなく、準決勝で再び相まみえると、巧みな車いすさばきで相手のショットを拾い続けて勝利。勢いそのままに表彰台の真ん中へと駆け上がった。

 「パラバドミントンといえば、里見選手と言ってもらえる存在になりたい」。3連覇に向け、第一人者の歩みは止まらない。

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