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ドイツ東部州議会選で右派政党が躍進、戦後初めて極右系が最大勢力…ウクライナへの武器供与に反対

読売新聞 / 2024年9月2日 22時58分

チューリンゲン州の選挙を前に行われた「ドイツのための選択肢(AfD)」の選挙キャンペーン集会で、拳を振り上げる人々(8月31日)=ロイター

 【ベルリン=中西賢司】ドイツ東部2州で1日に行われた州議会選で、右派ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進した。チューリンゲン州では第1党となり、ザクセン州でも議席を増やした。ドイツで極右系が州議会で最大勢力となるのは第2次大戦後初めて。右傾化の傾向が鮮明となり、警戒が広がっている。

 「歴史的勝利だ」

 チューリンゲン州のビョルン・ヘッケAfD筆頭候補は1日、地元メディアに述べ、「我々はチューリンゲン州の新しい国民政党になった」と豪語した。両州では、党員がナチスに近い思想を持っているなどとして、当局がAfD支部を「極右団体」に認定している。

 暫定結果によると、同州でAfDの得票率は32・8%となり、初めて州レベルの議会で第1党となった。国政最大野党で中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)が23・6%、左派新党のザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)が15・8%と続いた。第1党だった左派党は4番手に沈み、AfDとBSWに票を奪われたとみられる。

 ザクセン州では、CDUが31・9%を確保して第1党の座を維持したが、AfDは30・6%で1・3ポイント差に迫った。社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の国政3与党は両州で低迷した。

 単独過半数を得た政党はなく、州政権のあり方は各党間の連立交渉に委ねられるため、主要政党が連携を拒否するAfDが州政府で実権を握る可能性はほぼない。だが、AfDが32議席を得るチューリンゲン州議会(定数88)では、憲法裁判事の任命などに3分の2の賛成が必要となる。重要案件でAfDの協力が不可欠となり、AfDは「拒否権」を握ることになる。

 AfDは2013年、債務危機に陥ったギリシャ支援に反対する勢力が結党した。反移民・難民、反イスラムに加え、ウクライナへの武器供与に反対し、ロシア寄りの立場を掲げる。

 特に最近は、両州などの共産圏の東独に属していた地域で、旧西独地域との経済格差を背景に既成政党に不満を持つ有権者に浸透している。ライプチヒ大学のヘンドリック・トレーガー教授は「旧東独地域で地方組織をくまなく整備していない伝統政党がある中、AfDは草の根の活動で支持を広げてきた。ソーシャルメディアによる情報発信を多用し、これをうのみにする有権者も多い。AfD支部を『極右』だとする当局の判断を信じていない人もいる」と指摘する。

 今月22日には、旧東独地域のブランデンブルク州でも州議選が行われる。直近の世論調査ではAfDは支持率24%でトップを走る。SPDのショルツ首相はロイター通信に対し、「AfDは社会を分裂させ、国の評判を落としている」と警戒心をあらわにし、「ドイツはこの状況に慣れてはならない」と訴えた。

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