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「金」取っても試合前には不安で震える里見紗李奈、目標は「車いすでよかったと思える人生」

読売新聞 / 2024年9月3日 7時51分

バドミントン女子シングルス決勝で、ポイントを奪いガッツポーズする里見紗李奈(2日、パリで)=須藤菜々子撮影

 パリパラリンピックは2日、バドミントンの女子シングルス(車いすWH1)決勝で、里見紗李奈(NTT都市開発)がタイ選手を2―1で下し、連覇を達成した。3位決定戦では女子シングルス(車いすWH2)の山崎悠麻(NTT都市開発)、男子シングルス(下肢障害SL3)の藤原大輔(ダイハツ)がともに敗れた。

 連覇を決めると、里見は左手を何度も握った。瞳からは涙があふれる。「努力した分、結果はついてくるんだ」。日の丸に身を包み、喜びをかみ締めた。

 前日のダブルス決勝は中国ペアにストレートで敗れて銀だった。相棒の山崎は2日午前のシングルス3位決定戦でも敗れ、泣いていた。それでも、コートの一番近くで声援をくれた。その姿に「力をもらえた」。

 第1ゲームは風の影響を読み違えて苦しみ、先取された。ただ、相手のタイ選手には東京大会決勝でも逆転勝ちしている。その経験があるから「大丈夫」と焦らなかった。長いラリーで相手を消耗させ、第2ゲームを奪取。最終ゲームは疲労が見え始めた相手の甘い球を逃さず、2度の5連続得点などで流れを作って快勝した。

 世界選手権でも優勝するなど盤石な地位を築く一方、「何回戦っても怖さがある」と言う。金メダリストとしての重圧も感じ、大事な試合前は不安で震えている。ただ、その恐怖心が里見を練習に駆り立ててきた。この日の姿も女王というよりは挑戦者。「かっこいいプレーなんかしなくていい」と、右腕の痛みに耐えて懸命にプレーした。

 高校生の時に交通事故で脊髄を損傷して車いす生活となった当初、その姿を見られるのが嫌で外の世界が怖かった。観客の視線を集める存在になった今、「誰に何を思われても気にならない。この競技がつなげてくれたものがあって自分がいる。車いす生活にならなければ、こんな経験はできなかった」。目標は車いすでよかったと思える人生を送ること。自信に満ちた笑顔が、なりたい自分に近づいていることを示していた。(森井智史)

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