1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

セブン&アイ 買収提案でコンビニの行方は

読売新聞 / 2024年9月3日 5時0分

 円安で割安感のある日本企業に対し、海外企業からの買収提案が増える可能性が高まっている。日本企業は、企業価値の向上に向けた成長戦略が問われていくことになろう。

 セブン&アイ・ホールディングスが、カナダのコンビニエンスストア大手であるアリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けた。初期的な提案で、法的な拘束力はないという。

 クシュタールは米欧など約30か国・地域で事業を行い、株式時価総額は8兆円規模でセブン&アイを大きく上回る。実現すれば、海外企業による日本企業の買収としては最大級で衝撃は大きい。

 セブン―イレブンは、24時間営業ときめ細かな 品揃 しなぞろえで、社会インフラとして根付いている。外資の傘下で、現在の店舗運営が維持されるのかどうか関心は高い。

 一方、クシュタールは、日本の事業よりも、セブン&アイが米国で展開するコンビニ事業への関心が強いのではとの見方がある。

 セブン&アイは、社外取締役で構成する特別委員会を設置して提案内容を精査し、受け入れの是非を判断する。企業価値の向上や株主の利益、社会的責務など多角的な観点から検討してほしい。

 かつては国内外を問わず、買収提案は乗っ取りだと警戒し、経営陣が、合理的な理由もなく断ることが少なくなかった。

 だが、経済産業省が昨夏、企業買収に関する新たな指針を定め、そうした対応は難しくなった。効率的な経営や株主の利益につながるのであれば、選択肢とするように求めているためだ。

 セブン&アイは、提案の是非を判断した理由について対外的に丁寧に説明していく必要がある。

 近年、収益力の高いコンビニ事業に集中するため、セブン&アイは、百貨店のそごう・西武を投資ファンドに売却するなど経営改革を進めている。米国で首位のコンビニ店舗数は、米スピードウェイの買収で、さらに伸ばした。

 それでも、そごう・西武の売却が混迷するなどして改革の遅さが指摘され、株価は長く低迷してきた。買収提案は積年の課題を突きつけられたものだとも言える。

 政府は、海外からの企業買収や工場建設を行う対内直接投資を増やす施策を強化している。割安な株価を放置したままでは、外資による買収の標的になりやすい。

 企業が収益力を高めて、株価を高く維持することが最善の対処策になる。今回の買収提案は、日本企業全体にとって重い教訓だ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください