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ノロノロ台風 広範な被害に警戒が必要だ

読売新聞 / 2024年9月3日 5時0分

 日本列島を直撃した台風10号は、遅い速度で迷走し、広い範囲に被害をもたらした。従来とは異なる珍しい現象だ。気象の激変で今後も増えるとみられ、警戒が欠かせない。

 8月29日に鹿児島県に上陸した台風10号は、九州から四国を抜けて、9月1日に太平洋沖で熱帯低気圧に変わった。この間、自転車並みの速度でノロノロと進み、同じ地域にとどまって、長時間にわたり暴風雨を引き起こした。

 台風が通過した地域では、住宅の浸水や橋の崩落などの被害が相次いだ。宮崎県では、竜巻とみられる突風も発生した。死傷者は全国で100人を超えている。

 台風10号は当初、関東から近畿に上陸するとみられていた。しかし、太平洋高気圧が張り出していたため、西寄りの進路を取った。偏西風も通常より北側を吹いていたことで、その風に乗れず、速度も上がらなかった。

 台風の動きを予測するのが難しい状況で、各自治体は、住民に警戒を呼びかけるタイミングを図るのに苦慮したに違いない。

 地球温暖化の影響で、台風が大型化している。今後も、低速で進み迷走するケースは増えるだろう。自治体は、今回の経験を今後の対策に生かしてもらいたい。

 今回の台風のもう一つの大きな特徴が「遠隔豪雨」である。台風の北上に合わせて、温かく湿った空気が流れ込んだことで、秋雨前線が刺激された。

 この影響で、台風から遠く離れた関東や東北でも線状降水帯の発生などで、大雨となった。

 土砂崩れや河川の氾濫、道路の冠水などが、山間部や都市部を問わず起きた。大量の雨が短時間で降り、排水能力が追いつかない状況もみられた。現在の設備で今回のような記録的な豪雨に対応できるのか、検証する必要がある。

 新幹線や飛行機は運休が相次いだ。夏休みの終盤に旅先で足止めされ、途方に暮れた人も多かったはずだ。こうした場合、交通各社は、待機場所や代替の輸送手段の情報を迅速に提供してほしい。

 今回は九州地方で大規模な停電も起きた。猛暑の時期にエアコンが使えなくなれば、熱中症で命を落とす危険がある。

 平時からペットボトルに水を入れて凍らせ、保冷剤として使えるようにしておくなど、できる対策を各自で進めることが重要だ。

 2019年に房総半島を襲った台風15号では、停電に加えて断水も長く続いた。水や食料の備蓄も十分か点検しておきたい。

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