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東京都内の公園で手持ち花火「解禁」、26区市でOK…「色々我慢させていた子どもに楽しい思い出を」

読売新聞 / 2024年9月3日 14時25分

花火の利用が可能な公園で手持ち花火を楽しむ子どもたち(8月23日、港区で)

 東京都内の自治体が管理する公園や児童遊園で、手持ち花火を「解禁」する動きが広がっている。読売新聞の調査では、全49区市中、26区市が試行も含めて花火を認めており、うち5区がここ2年で解禁した。コロナ禍の収束などを理由にした住民の要望に応えたという。公園で色とりどりの花火を眺めて過ぎゆく夏を惜しむ――。今年の夏は、そんな楽しみ方をした人が例年より多かったかもしれない。

思い出作り

 8月23日、港区の白金台どんぐり児童遊園。午後6時半頃、マンションが立ち並ぶ目黒通り沿いの緑豊かな公園に家族連れらが続々と姿を現し、園内のあちこちで花火が始まった。

 幼稚園の同級生らと楽しんだ目黒区の女児(5)は、「花火がパチパチしていてかわいい」と笑顔だった。花火のできる公園を探してやってきたという会社員の父親(39)は「花火を通じて火の美しさや怖さを知り、大勢の友達と交流することは、子どもの成長につながる。花火ができる公園がもっと増えてほしい」と話した。

 港区の区立公園・児童遊園はこれまで、手持ち花火を含む火気の使用を禁止としてきた。だが、昨年度、試行的に一部の公園で花火を認めたところ、継続を求める声が多く寄せられたため、花火のできる時期や公園、時間帯を限定したうえで、今年度から本格的な解禁に踏み切った。

 区民からの要望には、「コロナ禍で色々我慢をさせていた子どもに楽しい思い出を作ってあげたい」といった声が多かったという。中村美生・区土木課長は「屋外での活動が制限されてきたからこそ、子どもに花火を楽しませたいとの思いがあったのだろう」とおもんばかり、「区にも子どもの思い出作りを応援したい気持ちがあった。ルールを守りながら楽しんでほしい」と話した。

日時を指定

 読売新聞の調査では、千代田区も、港区と同様に今年度から本格的に解禁し、7月20日~9月8日の土日の午後6時~午後8時に区内八つの公園・児童遊園でできるようにした。

 杉並区ではこれまで、公園で花火を楽しむ際には事前の申請が必要だったが、今年度から、5人程度の利用であれば申請を不要とした。荒川区は、今年度に試行を始め、区内5公園を「親子花火広場」として8月中の花火利用を可能とした。千代田区の担当者は「公園の改修を進めるタイミングで区民から要望があったため、解禁に踏み切った。区民にとって親しみやすい公園にしたい」と話す。

 文京区や中央区、中野区などは以前から花火の利用を原則認めていた。

「騒音懸念」

 一方、公園での花火を禁止しているのは23区市だった。多くの自治体が、「危険のおそれのある行為」「他人の迷惑となる行為」など、公園条例で定める園内での禁止事項に花火が該当するとの見解だ。気軽に花火を楽しみたいとの住民の気持ちを理解しつつ、「近隣への騒音などの懸念から踏み切れない」と答える担当者も多かった。

 小平市は10年ほど前まで、条例で花火の禁止をうたう一方、市民から要望があれば、「迷惑にならない範囲でなら」などと容認していた。だが、現在は一律で禁止している。

 一律禁止となった経緯は不明だが、市水と緑と公園課の担当者は、騒音やごみの放置などが問題になった可能性を指摘。「子どもたちの娯楽をなくす形となってしまうが、近隣住民への迷惑や危険につながるリスクがある以上、致し方ない部分がある」と漏らす。

 騒音問題に詳しい八戸工業大の橋本典久名誉教授(音環境工学)は「手持ち花火や、それで遊ぶ人の声はそれほど大きな騒音と言えず、『迷惑行為』と安易に禁止するのは好ましいことではない」と指摘。その上で、「利用のルールや実施可能な公園を選ぶ基準を明確に示し、事前に住民へ丁寧な説明を行うなど、適切な配慮の姿勢で臨むことで、実現の方法を模索するのも行政の役割ではないか」と話した。

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