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海洋深層水と表層水の温度差利用して電力、パラオに発電所設置へ…JICAと外務省が振興支援

読売新聞 / 2024年9月3日 15時0分

 国際協力機構(JICA)と外務省は、太平洋 島嶼 とうしょ国で、海洋深層水をくみ上げ、表層水との温度差で電気を作る「海洋温度差発電」の普及に乗り出す。電力の安定供給や脱炭素に加え、深層水の再利用を通じた海産物養殖など産業振興を後押しする狙いもある。

 海洋温度差発電の原理は、水蒸気でタービンを回して発電する通常の火力発電と同じだ。ただ、水よりも低温で沸騰するアンモニアなどを使う。海面近くの25~30度程度の表層水を利用して気化させ、タービンを回して発電する。気化したアンモニアなどは、水深600メートル以下からくみ上げた5~7度の深層水で冷やされ、再び液体に戻って循環する。

 表層水と深層水の温度差が年間平均で20度以上ある亜熱帯や熱帯が適しているとされる。JICAなどは赤道周辺に位置する太平洋島嶼国での導入はリスクが少ないとみており、手始めに、パラオへの発電所設置を進める。2027年中に稼働を目指す。太平洋島嶼国の多くはディーゼル発電に依存しており、環境負荷の低減とともに、金銭的な負担の軽減にもつなげたい考えだ。

 使用後の深層水を他の事業に転用できることも、海洋温度差発電のメリットだ。深層水は栄養が豊富で細菌が少ない。海洋温度差発電の実証事業を行っている沖縄県久米島町では深層水を活用し、カキの養殖を行ったり、淡水化して化粧水や飲料水を製造したりしている。同町での実証事業は140人の雇用と年間25億円の売り上げを達成し、「久米島モデル」と呼ばれている。

 パラオでの事業は、JICAと、同町での実証事業を行っている佐賀大が支援する方向で、深層水を産業に活用するノウハウも提供したい考えだ。

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