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ガザの一時休戦 ワクチン接種を停戦の糸口に

読売新聞 / 2024年9月4日 5時0分

 時間、場所を限定した一時的な休戦では、パレスチナ自治区ガザの住民が危機を脱したとは到底言えない。

 ワクチン接種のための休戦を全面的な停戦につなげられないか。関係国はイスラエルとイスラム主義組織ハマスに粘り強く訴えねばならない。

 ガザでポリオ(小児まひ)の患者が確認され、 蔓延 まんえんを防ぐために10歳未満の子供へのワクチン接種が始まった。イスラエルとハマスの双方が、接種日の午前6時から8時間の戦闘休止を受け入れ、実現したものだ。

 接種は1日から4日までガザ中部で行われる見通しだ。今後、南部と北部でも進められる。ガザ全域の対象者は64万人にのぼる。

 ポリオは乳幼児がかかりやすい病気で、予防にはワクチンが有効だ。1回目の接種の4週間後に、2回目の接種が必要である。

 国際的にポリオはほとんど封じ込めたとされていたが、今回、25年ぶりにガザで検出された。

 昨年10月のハマスの越境攻撃に対してイスラエルがガザに侵攻して以降、ガザの住民は何度も避難を強いられた。上下水道は破壊され、町はゴミであふれた。

 長期間に及ぶ劣悪な衛生環境での生活が、ポリオウイルスの検出につながったとの見方が多い。

 イスラエルが休戦に応じたのは、隣接するガザでポリオが流行すると、自国に感染が広がる恐れがあると考えたからだろう。イスラエルは、接種が行われていない地域では攻撃を続け、ガザ北部では学校への空爆で死者も出た。

 イスラエルの軍事作戦は自衛の範囲を超えている。罪のない人を巻き込んだ攻撃が、一部の国から「大量虐殺だ」と批判されるのも無理はない。

 ガザでは8月末、ハマスが人質に取っていたイスラエル人など6人が、遺体で発見された。人質の殺害は言語道断だ。

 イスラエルでは、当然、ハマスの残虐行為に批判が高まったが、それだけでなく、人質を救出できなかったネタニヤフ政権に対しても非難の声が上がり、各地で大規模デモが発生した。

 人質救出は口実で、ネタニヤフ首相の本当の目的は戦争継続ではないか、との疑いをイスラエル国民も持ち始めているようだ。

 英国は、自国の武器が国際人道法に反して使われかねないとして、イスラエル向けの武器輸出を一部停止すると決めた。停戦の実現に向け、米国を含め、こうした取り組みを広げていくべきだ。

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