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国スポに向けた自転車競技場建設、想定より費用膨らみ白紙に…島根県が改修や県外開催など検討

読売新聞 / 2024年9月4日 13時1分

丸山知事(左)に自転車競技場の新設を求める署名を手渡す国谷会長(松江市で)

 2030年に島根県内で開催される国民スポーツ大会「島根かみあり国スポ」に向けて、県が出雲市で計画していた自転車競技場の建設が白紙になった。想定より費用が膨らむためだ。県自転車競技連盟はこの方針転換に反発し、2日に丸山知事に新設の再検討を求める要望書を提出。県は話し合いを続ける意向だが、妥協点が見いだせるかは不透明だ。(松田栄二郎、澤野有輝)

知事へ再検討要望

 自転車競技場は当初、県が25年度の着工、27年度の供用開始を目指し、出雲市上塩冶町に新設を計画。大会唯一の新設計画で、関連費は大会総事業費の1割弱となる約25億円を想定していた。しかし、今年に入り改めて見積もりをしたところ、施設整備や土地造成などで約32億円まで膨らむことが判明した。

 県はこの見積もりを受け、5月、同連盟に対し「計画をこれまで通りに進めるのは難しい」と説明。当初の計画を見直し、▽別の場所で新設▽老朽化した大田自転車競技場の改修▽県外の競技場で開催――の3案を検討している。今秋までに方針を決める予定だ。

 同連盟の国谷成彦会長らは方針の転換を受け、2日に県庁で丸山知事と面会。1万319人分の署名とともに手渡した要望書では、「青少年の育成、活動拠点として今後さらなる利用拡大が見込める」などと新設の必要性を訴えた。

費用対効果に疑問

 県によると、島根かみあり国スポの総事業費は、近年の建設資材や人件費の高騰でさらに膨らむ可能性がある一方、国の補助金は5億円程度にとどまると想定され、大半が県負担になる見込みだ。1982年の「くにびき国体」では、開催経費の7割強にあたる約61億3300万円が県負担だったという。

 国スポを巡っては、財政負担の重さなどを理由に、全国の知事から運営の見直しを求める声が相次ぐ。2029年以降に開催される島根県など7県の知事らも6月、開催地の実情に合わせたコンパクトな大会として運営できるよう配慮を求める要望書を、国スポを主催する日本スポーツ協会と文部科学省に提出した。

 仮に県内で自転車競技場が新設されても、国スポ後の活用が課題となる。1982年大会で大田市に建設された大田自転車競技場は、昨年度の利用者4703人のうち、すり鉢状のバンク(走路)の利用者は3割弱。他は芝生内でのグラウンドゴルフや運動会などの利用だった。

 さらに、選手がバンクの内側へ移動できる地下通路の整備が求められており、丸山知事は6月の定例記者会見で「日頃、競技者が練習するよりもはるかに高い整備水準を求められるが、国スポが終わった後、そういう規模で使わなければいけない頻度がどれぐらいあるか」と疑問視していた。

「合宿や大会誘致」

 県の検討案の一つでもある大田自転車競技場の改修については、バンクの各所に補修跡があり、国スポで使う場合は大規模改修工事が必要となる。同連盟の要望書でも、施設の老朽化を挙げて「練習時の安全、大会などの開催が難しい」と指摘している。

 国谷会長は、2日に丸山知事と面会した後に記者団の取材に応じ、新設の必要性について「全国から来る選手の合宿や、全国規模の大会も誘致することができる」と強調。県外開催については「島根でやる国スポなのに、なぜ県外でということなのか」と不満を隠さなかった。

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