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中村輪夢が五輪で示した「存在意義」、敗れて得た「確信」とは…唯一無二の存在がXゲームズでトップ狙う

読売新聞 / 2024年9月7日 10時0分

「Xゲームズ」千葉大会第1日。自転車BMXパーク予選で演技する中村輪夢。7位で決勝に進んだ。ゾゾマリンスタジアムで

 アクションスポーツの祭典「X Games Chiba 2024」(Xゲームズ千葉大会)が千葉市の幕張メッセで20~22日に開かれる。自転車BMXパークに出場する日本男子のエース中村 輪夢 りむ(22)(ウイングアーク1st)は「五輪という一つの大きな目標が終わって一発目の大会。いいリスタートを」と誓う。持ち前の独創的なスタイルを携えての再始動となる。(大阪運動部 井上敬雄)

フリースタイルの良さを体現

 8月の記者会見で「ずっと目指してきたところにたどり着けず悔しい気持ちはあるんですけど、新技を出したいとずっと練習してきて。それが出せたのは少し報われたのかなって」と切り出した。パリ五輪では、2大会連続の5位。ただ、唯一無二の存在であることを示すには十分なパフォーマンスでもあった。

 決勝のラン冒頭に決めたのは世界初の大技「バックフリップ・テールウィップ・トゥ・テールウィップ」。後方宙返りしながら車体を1回転させ、一度止めてからさらに1回転。中盤に繰り出したもう一つの新技も同様に車体を一度止め、再び回すトリックだった。

 この「空中で一度車体をキャッチする動作」は、遠心力にあらがいながら、精密にバイクを制御する高い技術が必要とされる。ダイナミックにハンドルバーや車体をグルグルと連続して回すライダーがほとんどの世界。新風を吹き込むような凝った技を組み込んだランに、国際審判員の稲葉充秋氏は「東京五輪と同じ順位でも意味は全く違う。誰もやっていない、想像しなかった動きを見せた」と言って続けた。「フリースタイルの良さを究極に体現している」

「生きていく道」

 目標の表彰台には届かずとも、中村自身も少なからず手応えを感じている。「本当に細かいところ。あえて止める必要があるのかっていう話ですけど、そこが自分の癖であり、オリジナル。5位だからといって変えることもないし、そのまま進化してもっと成長していきたい」。方向性は間違っていないと確信を持てた結果でもあった。

 これまでの競技キャリアを振り返っても、「世界で誰もやっていない技」や「人とかぶらない技」にこだわり、大舞台では決まって新技を繰り出してきた。「それが自分の存在意義であり、生きていく道」とまで言う。その姿勢が2022年世界選手権で日本勢初優勝にもつながった。

 その中村いわく「性格や生活は、ライディングに出る」。自己分析はマイペースかつ飽き性。はまると熱中し、時が過ぎればパッと新しいものに目がいく。一時期はメンマを毎日のように食べ、チャンジャにはまっていた時期もある。「はまるとずっと集中的に食べて、食べ過ぎて飽きちゃって」と苦笑いする。

 競技にも、少しつながる部分があるという。「反復練習をずっとしていると新鮮さがなくなって。常に新しいことをやりたいのは、同じかもしれない」。進取の気風を持ち続け、それが世界トップクラスに食い込む、原動力にもなってきた。

今大会は「リベンジで」

 当然、今回のXゲームズ千葉大会でも独創的な技に期待がかかる。この3年間は五輪での雪辱を期して集中していたが、もともとは小さい頃から招待制の大会に「単純にいつか出たい」と憧れていたという。Xゲームズ初出場となった2019年米国大会で準優勝した記憶は鮮明だ。

 ただ、昨年は千葉大会7位、米国大会9位にとどまっている。「(表彰台に乗ってから)だいぶ時間もたってしまって。特に去年は決勝を走れなかったので、リベンジで、いい走りができたら。トップも目指したい」と自らを鼓舞する。

 Xゲームズも日本開催は3回目。「1回目には競技を知らなかった人も3回目では全然、見方が違うと思う。新しい楽しみ方、色々な見方をしてもらえたら」と奥深さに気づいてもらえる走りをすることも目標に掲げる。目の肥えたファンをもうならせる凝ったランで新たな船出を飾る。そのための準備を着々と進めている。

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