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富士山の大規模噴火に備え「広域降灰予報」、気象庁が数年内に導入…予想量3段階明示案

読売新聞 / 2024年9月5日 5時0分

 富士山の大規模噴火で首都圏に大量の火山灰が降る事態に備え、気象庁は、広範囲・長時間の降灰を予測する「広域降灰予報」を導入する方針を固めた。富士山噴火では最大30センチ以上の火山灰が降り積もり、住宅倒壊や交通網のマヒといった深刻な被害が出る恐れがあることから、予報により迅速な防災行動につなげるのが狙い。来年度から予測システムの開発などを進め、数年後をメドに始める方針だ。

 富士山は過去5600年間、平均して30年に1回程度噴火したと考えられているが、約300年前の「宝永噴火」を最後に噴火していない。

 政府が2020年に公表した富士山噴火による降灰の試算では、最悪の場合、火山灰が約3時間後に首都圏に到達し、鉄道の運行が止まり、送電設備の不具合により広範囲で停電が起きる。降灰が約2週間続くと、神奈川県や山梨県などで厚さ30センチ以上、都心でも同10センチ程度に達する。除去が必要な火山灰は、東日本大震災の災害廃棄物量の約10倍にあたる最大約4・9億立方メートルに上るとしている。

 気象庁は、国内の火山が噴火した際、降灰の量やエリアを予測する「降灰予報」を出しているが、現行の降灰量の区分は「1ミリ以上」「0・1~1ミリ」「0・1ミリ未満」で、数十センチに及ぶ降灰は想定していない。予報期間も最大6時間先までとなっている。

 新たに導入する広域降灰予報は、富士山などでの大規模噴火を想定。長時間にわたる降灰により、各地で予想される降灰量を「30センチ以上」「3センチ以上」「微量以上」の3段階で示す方向で検討している。同庁は来年度、「火山灰情報企画調整官」のポストを新設し、広域降灰予報の導入に向けた検討を加速させる。

 富士山噴火による広域降灰対策については、政府の有識者検討会でも議論が進められており、年内にガイドライン(指針)を取りまとめる予定。

 ◆宝永噴火=江戸時代中期の1707年(宝永4年)12月16日に始まった大規模噴火。噴火は16日間にわたって断続的に続き、火山灰が上空の風で流されて江戸にも降り積もった。火山灰などの総噴出量は17億立方メートルと推定されている。

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