1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

高速道路の料金 変動制は国民の理解を前提に

読売新聞 / 2024年9月6日 5時0分

 高速道路の渋滞を解消する施策は、脱炭素などを進めるために重要だ。変動料金制を導入する際は、国民の十分な理解が得られるよう、丁寧に影響を分析してほしい。

 国土交通省は、高速道路の料金を時間帯などで変える「ロードプライシング」の導入について、有識者会議で検討を始めた。モデル路線を選定し、来年度以降、試行的に実施する。全国での本格導入も検討課題にするという。

 国交省によると、1990年代半ば以降、道路網の整備で渋滞は減少してきたが、高速道路の本格的な割引料金を導入した2009年以降、大きく増加した。23年の渋滞量は13年ぶりの高水準だ。

 渋滞で、車両の走行速度が落ちると燃費が悪くなり、二酸化炭素(CO2)の排出量の増加を招く。物流コストなどを上昇させ、経済的な損失も大きい。渋滞を解消する施策の重要性は高い。

 国交省が新たな渋滞対策として検討するのが変動料金制だ。混雑する休日の昼間は割高な料金とし、深夜帯は割安にすることなどで交通量を分散させるという。

 新制度を検討するため、千葉県木更津市と川崎市を結ぶ東京湾アクアラインでは、川崎方面に向かう上り線で、昨年7月から先行して実験を行っている。

 自動料金収受システム(ETC)を搭載する普通車の通行料金を、土日と祝日の午後1時~午後8時は800円から1200円に値上げした。午後8時~午前0時は逆に600円に下げている。

 これにより交通量は全体で3%増えたが、10キロ・メートル超の渋滞発生日は26%減り、効果があった。

 ただし、土日にしか休めず、行楽を楽しみたい会社員などにとっては、単なる値上げとしか受け取られないことになりかねない。

 地域事情にかかわらず全国的に展開すれば、利用者の不満が高まることも想定される。路線選びは慎重に進める必要があろう。

 また、深夜帯の料金を下げれば、業務用トラックの運行が増える可能性もある。過重労働の是正のため、今年4月から運転手の残業規制が強化されており、残業が増える事態は避けねばならない。

 一方、厳島神社がある広島県廿日市市では、観光利用が多い国道と並行して走る高速道路の料金を市の補助で値下げした結果、国道側の渋滞が緩和した。料金の変更が利用者の行動にどう影響するのか、掘り下げたいケースだ。

 国交省は、多様な事例を比較し課題を洗い出してもらいたい。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください