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プロも「習い事のお迎え」「夕飯の買い出し」、岩清水梓が語る「女子サッカー選手」のリアル

読売新聞 / 2024年9月10日 10時0分

岩清水さん(左)と槙野さん

 女子プロサッカー・WEリーグの日テレ・東京ヴェルディベレーザに所属する岩清水梓選手が、読売新聞ポッドキャスト「ピッチサイド 日本サッカーここだけの話」に登場。4シーズン目に突入した女子サッカーのプロリーグ「WEリーグ」への期待を語った。収録はWEリーグの新シーズンが開幕する直前の8月23日に行われた。

プロ化に「うそでしょ!?」

 WEリーグは2021年9月に開幕。それまではアマチュア主体の日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)が国内女子サッカーの最高峰リーグだったが、日本サッカー協会(JFA)が主導して女子サッカーもプロ化にかじを切った。リーグが秋に開幕する「秋春制」を採用し、現在、ベレーザを含む計12チームがWEリーグに参加している。

 なでしこリーグ時代と大きく変わったことは?

 「(アマチュア時代は)仕事をしながらサッカーをして、サッカーではお金が発生しなかった。サッカーでお金をいただくというのは男子Jリーガーには当たり前な話かもしれないけど、女子からすると当たり前じゃない。最初に(プロ化を)聞いた時も『うそでしょ!?』って思ったの」

 2011年にW杯(ワールドカップ)で優勝してから、女子サッカーのプロ化の話題は選手たちの耳にも入っていたという。

 「W杯に優勝して、プロ化の話はちらほら聞こえてきて、ぽしゃって、聞こえてきて、なくなってという感じだったから。最初は『またか』と感じていた」

WEリーグで変化したこと

 WEリーグが誕生したが、なでしこリーグ時代から変わらない思いはある。

 「アマチュアだったけど『プロ意識』を持ってやってた。だから、プレーの違いは自分の中では少ない気がする」

 一方、プロ化したことで、選手たちにはこれまでと違った意識も芽生えているようだ。

 「サッカーだけじゃダメだなというか、どうやったらお客さんに来てもらえるか、どうやったらリピーターになってくれるかとか。生活がサッカーだけになったからこそ、集客とかホームタウンでの活動にも目を向けなきゃいけないよねっていうのは、ちょっと変わったところかな」

 WEリーグの昨シーズンのリーグ戦の入場者数は1試合平均1723人。リーグが当初掲げた平均5000人にはまだ開きがある。

 「若い選手もチームのフロントとやり取りして、私の知らないところで集客に向けて自発的にやってる。それは変化だと思う」

 「スタジアムの近くの商店街に『ポスター貼らせてください』って、選手たちが。『ホームタウンでの活動を大事にしなきゃね』って」。草の根の取り組みやSNSの発信など、ホームタウンを巻き込んでリーグの盛り上げに取り組んでいる。

 岩清水さんも地域との交流を進めたいと語る。「学校訪問はやっていきたい。新型コロナの時期になくなっちゃったので、また復活させたいなっていうのは、私のセカンドキャリアとしても願望がある。引退した後にベレーザOGとして学校に行って『試合を見に来てね』っていうのはやりたい」

子どもの習い事の送迎も

 番組MCのサッカー元日本代表・槙野智章さんとのトークは、女子サッカー選手の1日のタイムスケジュールについても及んだ。

 岩清水さんは「今、練習は9時からなんですよ。大学生が数人いるから、午後は授業に出ますって子もいる。それ以外の人は、個人のトレーニングも含めて午前中は練習して、クラブハウスでお昼食べて体のケアするとか、自分の体に充てる時間がすごく増えた」と紹介。

 男子選手も午前中に全体練習で、午後は個々の時間に充てるという。槙野さんは「男子は個人トレーナーをつけてトレーニングをする人、海外移籍を見据えて英会話をする人。あとは資格を取る人、指導者ライセンス含めて。僕は船舶の免許も取りに。あと、家族いるなら、その時間に充てる人もいるし」と話した。

 女子選手もトレーニングやけがの治療、休息に充てるなどは男子と変わらない。岩清水さんの場合は「私は子どもの習い事の迎えに行ったり。あと、ちょっと休めば夕飯を何にしようかなみたいなので、買い物行ってさ。料理を作ってとかやってるとだいたい夜になって早く寝ます」とも明かした。

期待感と危機感

 プロ化したWEリーグが発展するかどうかは「集客」にかかっている。

 「お客さんの入り方っていうのは、Jリーグは素晴らしいと思う。自分たちもそこに並んでいかなきゃなっていうのはある。Jリーグまでとは言わなくとも安定して5000人ぐらいとか。お客さんが来てくれると、選手も多くの人に見られている中でやるってテンション上がる。だからそういった試合がたくさんやりたいと思う。WEリーグの伸びしろだと思う」

 W杯やオリンピックで女子サッカーの注目度が高まった時代も、なでしこリーグの低迷期も知っている。だから、期待感とともに危機感も抱き続ける。

 「(WEリーグが発足して)4シーズン目。でも、本当に頑張っていかないと、もしかしたら終わっちゃう可能性も隣り合わせだと思う。頑張っていかないとな」

 今季のWEリーグは9月14日に開幕する。

プロフィル

岩清水梓(いわしみず・あずさ)

日テレ・東京ヴェルディベレーザ所属。ポジションはDF。2011年ドイツW杯で優勝。12年ロンドン五輪で銀メダル。15年カナダW杯で準優勝。所属クラブではリーグ4連覇に貢献。2020年3月に第1子を出産し、現在も現役選手としてピッチに立つ。今年3月に初めての著書『ぼくのママはプロサッカー選手』(小学館クリエイティブ)を刊行。1986年生まれ。岩手県滝沢市出身。

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