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兵庫県知事「道義的責任が何かわからない」…告発者処分「法的問題なし」主張変えず

読売新聞 / 2024年9月7日 6時31分

 兵庫県議会の百条委員会が6日に行った斎藤元彦知事への証人尋問で、斎藤知事は、告発を公益通報として扱わず告発者を処分した県の対応について、「法的に問題ない」との主張を変えなかった。

 委員の質疑が集中したのが、告発者の前県西播磨県民局長の男性職員(7月に死亡)が3月中旬、一部の報道機関などに送付した告発文書が、公益通報に当たるかどうかだ。

 斎藤知事は同20日に文書の内容を把握し、翌21日に片山安孝・前副知事(7月末で辞職)らに告発者の特定を指示した。

 公益通報者保護法では、「事実と信じるに足りる相当の理由」(真実相当性)などがある場合、報道機関などへの「外部通報」も保護の対象となる。

 百条委には、公益通報制度に詳しい山口利昭弁護士が斎藤知事に先立って参考人として出席。告発は外部通報に該当するとの見解を示し、「通報者の探索はしてはならず、法令違反だ」と述べた。

 しかし、斎藤知事は「告発というより 誹謗 ひぼう中傷性の高い文書だと思った。作成した人を特定し、聴取するのは問題ない」と主張した。

 斎藤知事は、男性職員が3月25日、県の人事当局の聴取に「うわさ話はあちこちにある。それを集めた」と話したと説明。「具体的な供述や証拠がなく、真実相当性はない。公益通報に該当するとは、今でも思っていない」と述べた。

 4月に男性職員が県の公益通報制度を利用して同内容を通報したにもかかわらず、県が5月に男性職員を停職3か月の懲戒処分としたことについても、「中傷性の高い文書を作成したことに対して懲戒処分を行った。対応は問題ない」と繰り返した。

 委員から道義的責任を感じているかと問われると、「道義的責任が何かわからないので、明確にコメントできない。今の県政の状況を招いたことは、県民に深くおわびしたい」と語った。

 百条委は6日の証人尋問後、県の対応が公益通報者保護法に違反していないか、消費者庁に見解を確認する方針を決めた。

 制度に詳しい淑徳大の日野勝吾教授(労働法)は、斎藤知事の証人尋問での証言について、読売新聞の取材に「県庁内で制度への理解が徹底されていない状況が浮き彫りになった」と指摘した。

 通報内容について、「100%真実であることが求められるわけではなく、告発者本人にとって『信じるに足りる相当の理由』があれば保護される」との見解を示した。そのうえで、「知事は告発文書を入手した時点で、第三者機関に調査を引き渡すべきだった。知事らの対応は法令に違反している」と話した。

職員らと食い違う証言

 6日の斎藤知事の証人尋問では、職員らとの証言の食い違いが明らかになった。

 片山前副知事は同日午前の証人尋問に出頭し、3月下旬に小橋浩一・総務部長(当時)が斎藤知事に弁護士らによる第三者委員会の設置を進言した、と説明。「斎藤知事は『調査に時間がかかる』として否定したと(小橋氏から)報告を受けた」と証言した。しかし、斎藤知事は「記憶はない。人事課の調査で十分という話になったと思う」と述べた。

 先月の証人尋問に出頭した人事当局の職員は、4月中旬に知事から井ノ本知明・総務部長(当時)を通じて「(公益通報の)調査結果を待たずに処分できないか」と打診があった、と証言した。これについても、斎藤知事は「言っていない」と否定した。

 原田剛治・産業労働部長は5日の証人尋問で、県内の企業から受け取った高級コーヒーメーカーについて、「返却を失念していた」として3月下旬に知事に謝罪したと語った。

 しかし、斎藤知事は「その話が出たことは、記憶にない。(4月中旬に)報告を受けてびっくりした記憶がある」と語った。

浴衣やネクタイ「公務で使用」

 贈答品の受領疑惑についても、質疑が行われた。斎藤知事は、播州織の浴衣やスポーツウェア、ネクタイなどの受領を新たに認めたが、「公務で使っている」などと説明した。特産ワインや日本酒、カニなど食品の受領についても、「おいしいものが県内にあると知ることは、知事の仕事」などと述べ、問題ないとの認識を改めて示した。

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