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見てまねできない全盲の木村敬一、フォーム改造も道半ば…「ハイブリッド」で泳ぎパラ新記録

読売新聞 / 2024年9月7日 20時16分

男子100メートルバタフライ決勝で力泳する木村敬一(6日)=木佐貫冬星撮影

 6日に行われたパリパラリンピックの競泳男子100メートルバタフライ(視覚障害S11)決勝で木村敬一(東京ガス)がパラリンピック新記録の1分0秒90で金メダルに輝いた。50メートル自由形と合わせて2冠。富田宇宙(EY Japan)も1分3秒89で銅メダルを獲得した。男子50メートル自由形(運動機能障害S4)決勝で、鈴木孝幸(ゴールドウイン)がアジア新記録の36秒85で銀メダル。今大会4個目(金1、銀2、銅1)、パラ通算で14個目のメダルとなった。

 東京大会の100メートルバタフライ金メダルから3年。泳ぎ方を根本から変えた木村の挑戦は、自己ベストを塗り替えての2冠という結果をもたらした。「こういう形で終われるのは本当に最高。できすぎだな」

 意識したのは、ひとかき目。「泳ぎ出しが崩れると動きが流れていかない」と集中し、そこからテンポを崩さず加速した。世界記録に迫るペースで抜け出し、最後はパラリンピック記録でゴールへ飛び込んだ。

 全盲の木村は目で見た動きをまねて自分の動きに落とし込むことができない。一つ一つの動きを止めて覚え、それをコマ送りのようにつなぐ、いわば映画のフィルムのような形で泳ぎを習得していった。ただ、水中ではコマの間のわずかな瞬間でも動きが止まると、それは抵抗につながる。点と点をどう結びつけるか。昨年から指導する五輪銅メダリストの星奈津美さんとは「動かし続ける」感覚の泳ぎを一緒に模索した。

 指導が始まった当初、木村はよく「不安定だ」と口にした。星さんは「それは従来のように動きを止められていないことへの違和感で、動かし続けることができ始めた『合言葉』にも感じた」という。姿勢も見直し、全身のうねりを使う泳ぎを徐々に習得していった。

 完成に至らなかった技術もあり、この日の泳ぎは新泳法と従来の泳ぎをかけ合わせたハイブリッド型。それでも自己最速の1分0秒台で泳いだ点が、動きの連動性が増したことも示している。「技術でここまで記録を伸ばせた。自信を持ちたい」と木村。成長を実感するように胸を張った。(森井智史)

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