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「イスラエルはジェニンをガザのように」、対テロ名目でヨルダン川西岸にも戦火…難民キャンプルポ

読売新聞 / 2024年9月7日 22時6分

7日、ヨルダン川西岸ジェニン難民キャンプで破壊された建物の前を歩く住民=福島利之撮影

 【ジェニン難民キャンプ=福島利之】イスラエル軍が10日間にわたって侵攻し、6日に撤収したパレスチナ自治区ヨルダン川西岸北部のジェニン難民キャンプに翌7日、足を踏み入れると、建物や道路が破壊しつくされていた。7日で11か月となったパレスチナ自治区ガザでの戦闘を続ける一方で、軍は西岸でも「対テロ対策」を名目に攻撃を展開している。

 現地では7日午前、あちこちの家が崩れ、家のコンクリート壁には無数の弾痕が残っていた。壊された下水管からは汚水が流れ、一帯には異臭が漂う。家の壁が破壊されたタクシー運転手ムジャーヒド・トゥバシさん(33)は「イスラエルはジェニンをガザのようにした」と嘆いた。

 イスラエル軍は商都テルアビブで起きた8月18日の自爆テロを受け、同27日夜から西岸のジェニンなどで戦闘員の掃討作戦を始めた。イスラエルが恐れるのは、2000年に始まった第2次インティファーダ(反イスラエル蜂起)で西岸からイスラエル各地に侵入した戦闘員が相次いで起こしたような自爆テロの「連鎖」だ。

 複数の住民によると、軍は多数の四輪駆動車を展開させて家を銃撃し、空からドローン(無人機)で攻撃した。水道や電力供給が寸断され、住民たちは外に出られなかった。パレスチナ自治政府によると、10日間の攻撃でジェニンでは16歳の少女を含む21人が殺害された。昨年10月以降、現地で最大の攻撃となった。

 モスク(イスラム教礼拝所)の隣に住む学校用務員ハーリド・サビーフさん(60)は5日午後1時頃、軍に家を包囲され、「すぐに家を出ろ」と命じられた。兵士は「家の地下トンネルに戦闘員が潜んでいる」と主張したという。

 近くの親類の家に妻や孫と避難すると午後5時頃、大きな爆発音が響き、家は破壊された。サビーフさんは地下にある岩盤のくぼみを指さしながら「どこに地下トンネルがあるというのか。どうやって家を再建したらいいのか」と憤った。

 地元記者によると、ジェニン難民キャンプにはハマスなどの戦闘員数百人が潜むとされる。軍は民間人を巻き込みながら作戦を続け、自治政府によると昨年10月以降、西岸と東エルサレムで690人以上が殺害された。

 ジェニンは自治政府が治安と行政を担う地域だが、軍はお構いなしに侵攻する。ジェニン入り口のタバコ畑で葉の収穫作業をしていたターリブ・アマラさん(37)は1日午前9時頃、兵士に右腕を撃たれて負傷した。アマラさんは「私は何も抵抗していない。これが西岸の実態だ」と怒気を込めて語った。

◆難民キャンプ=1948年のイスラエル建国に伴い勃発した第1次中東戦争で家を失った難民やその子孫が住む地域。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、ヨルダン川西岸には19か所あり、約87万人が暮らす。キャンプ内には粗末なコンクリート製の建物が密集している。

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