「私たちが支えよう」「胸を張って立てている」 世代交代進むHKT48、10年ぶり「ダブルセンター」続投に自信
J-CASTニュース / 2024年9月7日 10時0分
HKT48の石橋颯(いぶき)さん(左)と竹本くるみさん。新曲「僕はやっと君を心配できる」でダブルセンターを務める
福岡市を拠点に活動するアイドルグループ、HKT48が新曲「僕はやっと君を心配できる」を2024年9月11日に発売する。「普遍的なテーマをグループの今と重ね合わせ」た楽曲だという。グループは2021年の結成10年を機に人気メンバーの卒業が相次ぎ、23年の本村碧唯さん(27)を最後に、初期メンバーが全員卒業。世代交代が進んでいる。
今作は、前作「バケツを被(かぶ)れ!」(23年)に続いて、5期生の「いぶくる」こと石橋颯(いぶき)さん(19)と竹本くるみさん(20)によるダブルセンターだ。センターポジションは楽曲ごとに代わることも多く、HKT48でダブルセンターが続投するのは約10年ぶり。2人は前作の経験で自信がついたといい、「私たちが支えよう」(石橋さん)、「胸を張って立てている」(竹本さん)と意気込む。竹本さんは、歌詞になぞらえて「壁を打ち破って、色々な視点から自分たちを見ることによって成長していけたら」と話した。センターの2人と松岡はなさん(24)、江浦優香さん(13)、龍頭綺音(りゅうとう・あやね)さん(14)の5人に、2回に分けて作品やグループへの思いを聞いた。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)
聞く人によって考え方が違うのも聞きどころ
―― 新曲のタイトルは「僕はやっと君を心配できる」。非常に含意があって、色々な想像が働きますね。発表資料によると「普遍的なテーマをグループの今と重ね合わせ、強い意志で新たな未来を謳(うた)う決意表明ソング」です。どのように読み解けばいいでしょうか。「僕」はファン、「君」はグループのことでしょうか。あるいは、その逆でしょうか。どんな思いでレコーディングに臨みましたか。
石橋: 聞く人によって、多分捉え方は違うと思います。聞く人によっては「僕」をファンの方自身に例えたり、逆に私達アイドルが「僕」の立場だったりとか......。聞く人によって考え方が違うのも、聞きどころだと思います。
竹本: 前作「バケツを被れ!」は、自分の身を守っていこう、傷ついた心を守っていこう、それで頑張っていこう、という感じでした。それに対して今作は、「自分たちが守られていたって 誰かの悲しみは感じられやしない」とか、自分だけではなく、他人の心配もできたりする心の余裕も見えてきたと感じています。加えて、私が(今の)HKT48(の状況)に合っていると思ったのが、
「僕らには何もないけど あり余るくらい時間があるんだ 何回だって立ち上がれ! ホントの愛を見つけるまで」
という部分です。先輩方が卒業されて、これからどうなっていくのかな、と不安を感じている中でも、何か壁を打ち破って、いろいろな視点から自分たちを見ることによって成長していけたらいいな、という気持ちを込めて歌いました。
松岡: 今回は、ひとりで歌う「一声」の部分が(石橋さん、竹本さんの)2人にあります。HKT48ではみんなで歌うことが多く、ひとりで歌うことはあまりないので、すごくいいと思いましたね。推しの声が分かるというのは、すごく嬉しいことだと思います。2人の声も全然違うんですよね。
―― 終盤の「編集されたニュースのように」(竹本さん)、「そこにあるのが真実じゃない」(石橋さん)のあたり、お二人の声が際立ちますね。この取材の会話も「編集されたニュース」として世の中に出ていくわけですが、皆さんの思いは、しっかりと伝わるようにします(笑)。 さて、ミュージックビデオ(MV)撮影は、つい最近だったそうですね。振り入れ(振り付けを覚える作業)は大変でしたか。
松岡: 大変ではありませんでしたが、「バケツ」よりは難しい振り付けになっているので、みんなの気持ちがいつもより一つになったといいますか、見応えがあると思います。
「いぶくる」で「HKT48をもっと成長させる未来を見たい」
竹本: (クールな曲調の)「3−2」(さんひくに、20年)に近い、「滑らかだけど、強いところもある」、という部分もあります。MVでは4種類の違う振り付けがあります。4人ずつ違う振りを覚えないといけなくて、しかも同時に踊らないといけなかったので、他の人の振りに惑わされないように。全員違う動きをするというところが、すごく緊張しました。
―― MVは、どんなストーリーになっているのでしょうか。
竹本: 少女たちが廃墟から外の世界に抜け出す......という筋書きです。みんなの力強さや、まとまりが表現されていると思いますね。1人1人が自分の目標がある中でも、その意思だけはみんな一緒......という感じです。
松岡: (石橋さん、竹本さんの)2人が目立つ構成になっています。
―― ダブルセンターが続投するのは、2枚目のシングル「メロンジュース」(13年)、3枚目の「桜、みんなで食べた」(14年)の「めるみお」こと2期生の田島芽瑠さん(24=22年卒業)、朝長美桜さん(26=20年卒業)以来、10年ぶりです。1回目と2回目では、「センターの景色」は違うものですか。
石橋: 私は、結構違いましたね。何か自分に余裕ができたというか......。もう私たちも6年目になるので......。前回の「バケツ」のときは、引っ張ってもらうような、後ろから支えてもらうような感じでしたが、今回は「引っ張るぞ」、私たちが支えよう、という気持ちで挑めたので、私としては、すごく思うことは違いましたね。
竹本: 私も「バケツ」の時は、「私でいいのかな」という感じで先頭に立っていましたが、今回は胸を張って立てていると思います。前回は、やはり「結果を残せるかな」とか「自分に何ができるのかな」とか、初めてで分からないことだらけでしたが、今回は2回目ということで、前回の経験を生かして、自由にできたらいいと思います。
―― なぜセンターを続投できたと思いますか。1回目で自信がついたからでしょうか。
竹本: (1期後輩の)6期生とかすごく成長しているので、「バケツ」の時は、次はできないかな、という思いもありながら、でもやはり次もセンターに立ちたい、という気持ちも持ちながら全力を尽くしてきました。自分の役割というか、何か成し遂げられたからこの結果になっていたらいいな、と思っています。
石橋: 私は2回目のセンターをマネジャーさんから電話で知らされました。私が「ありがとうございます」と言っているときに、そのマネジャーさんから「自分たちに、『いぶくる』でセンターに立っている夢を見せてほしい」といったことを言われました。どういう意味で言ったのかは分からないのですが、まだ期待をしていただけるのかなと思ったので、頑張りたいと思いました。「希望だよ」とも言われました。
―― 竹本さんも言われたんですか。
竹本: 私は(センター続投を伝えられたのは)直接でしたが、その後LINEで、「こういう思いで2人を選んだから、この2人でHKT48をもっと成長させる未来を見たい」と伝えられたので、頑張ろうと思います。
石橋さん「光を放って周りに笑顔を届ける」、竹本さん「真面目な楽曲の表現が得意」
―― 竹本さんは、ファン向けに有料で配信している「HKT48メール」の中で、前作は石橋さんが得意なジャンルで、今作は竹本さんが得意なジャンル、という趣旨の指摘をしていました。お二人の役割分担のようなものはあるのですか。
竹本: 颯はすごく明るくて、HKT48の太陽のような存在で、明るい曲調の楽曲では、自分から光を放って周りに笑顔を届けるような存在です。それに比べて、私はいつも元気で明るいというわけではないのですが、シリアスというか真面目な楽曲などを表現するのは得意なので、そういった部分ではお互いの個性が出ていると思いました。
―― なるほど、「太陽と月」というか......。石橋さんは、例えば「特にこのジャンルが得意」といったことはありますか?
石橋: 難しいですね~。(石橋さんが初めて選抜入りした)「君とどこかへ行きたい」(21年)以来、「ビーサンはなぜなくなるのか?」(22年)など明るめの曲のMVを撮らせていただいていたのですが、かっこいい曲を撮ったことはありませんでした、「かっこいい系」の表現や曲はすごく好きで撮ってみたかったので、今回初めて撮影できてうれしかったです。
―― 7月28日に公開された新曲の告知動画には「今のHKT48たくさん知ってもらいたいな 色んな人に もったいない」という一節がありました。特に石橋さんはwithnews(朝日新聞社)の8月のインタビューで、「推しメンが卒業すると箱卒(所属グループの応援も卒業)という方もいて。直接やめないで、ってファンの方に言えるならいいけど、それはできない。SNSでの発信しか方法がないと本当に思うので、そこに力を入れています」と訴えていました。グループごと応援する「箱推し」が増えるために、どういった点をアピールしていきたいですか。
石橋: そうですね......。グループの仲の良さだったりは、本当に昔からずっと変わらないものなので......。推しメンが卒業すると同時に、自分も応援を卒業する決意をするのは、仕方ないといえば仕方ないと思うんですよ。でも、やはり私たちからすれば、「誰推し」とは決めずに、最後まで(グループを)見守ってほしいですし、テレビなどに出させていただくときは、喜んでいただけると嬉しいですね。HKT48はライブがすごく楽しいと言っていただけるので、それは変わらないものだと思います。やっぱり応援していてほしいですね。
―― やはり、箱推しが増えるためには「一度現場に来て見てください」。これに尽きるということですね。
石橋: はい、絶対見てほしいです。
竹本: チーム公演が特徴的だと思っています。例えばチームKⅣの先輩が卒業されても「KⅣの雰囲気が好きだから見に行く」という方が、多くいらっしゃいます。研究生、チームH、チームKⅣと大きく3つのチームに分かれて公演を行っているので(3チーム以外にも混成チーム「ひまわり組」による公演が行われている)、そのチームを好きになってくれたら、ファンとして残ってくださるのではと思いました。
以前は「(後輩と)一緒になって遊ぶ」「自分が自分が」だったけど......
―― 「チームH」キャプテン、豊永阿紀さん(24)の8月11日付のブログには、「振り返ると、6期生が出来てからのいぶきはまさしく変わったと思います」とあります。6期生のお披露目は22年5月。2年ほどたちますが、ご自分で振り返ってみて実感はありますか。
石橋: 自分では意識していなかったので分からなかったのですが、ファンの方や、阿紀ちゃんをはじめとしたメンバーから、良い意味で「変わった」と言ってもらえることが多いので、なんだか嬉しいです。(劇場)公演などを見ていたら、自分もだいぶ落ち着いたなぁ、と思います。
―― 公演を配信で拝見していると、6期生には渋井美奈さん(15)を筆頭に、やかまし......活発で個性豊かなメンバー多数ですね。そういう後輩がいると、相対的に5期生のお二方は静かな指導役に回っていく、というイメージでしょうか。
石橋: 以前は「一緒になって遊ぶ」といった感じでしたが、最近は「かわいい!」という感情で眺めていることが多いですね。(後輩が増えて)甘えられないな、と思います。
竹本: 今までは上手い先輩のまねをしてパフォーマンスしたり、「誰よりも輝けるように頑張らなきゃ」「自分が自分が」という感じでしたが、今は逆に「まねされるような先輩にならなきゃ」という意識ですね。自分がいるHKT48が、より良い方向に行けるようにならなければ、と思っています。
(後編に続く。9月8日掲載予定です)
石橋颯さん プロフィール
いしばし・いぶき 2005年生まれ、福岡県出身。HKT48チームH所属。18年にHKT48に5期生として加入。「君とどこかへ行きたい(みずほ選抜)」(21年発売)以来、今作含めて5作連続で選抜入り。前作「バケツを被れ!」(23年発売)から2作連続でダブルセンターを務める。
竹本くるみさん プロフィール
たけもと・くるみ 2004年生まれ、東京県出身。HKT48チームKIV所属。18年にHKT48に5期生として加入。「君とどこかへ行きたい(みずほ選抜)」(21年発売)以来、今作含めて5作連続で選抜入り。前作「バケツを被れ!」(23年発売)から2作連続でダブルセンターを務める。現役大学生。
松岡はなさん プロフィール
まつおか・はな 2000年生まれ、千葉県出身。HKT48チームKIV所属、同キャプテン。14年に「バイトAKB」のオーディションに合格し、15年2月まで活動。15年に第2回ドラフト会議で指名されてHKT48に加入。「最高かよ」(16年発売)、「キスは待つしかないのでしょうか?」(17年発売)でセンターを務める。「ハイテンション」(16年発売)でAKB48のシングル表題曲に初参加し、「ジワるDAYS」(19年発売)など計7作品に参加。24年9月28日の卒業コンサートをもって卒業予定。
江浦優香さん プロフィール
えうら・ゆうか 2011年生まれ、福岡県出身。24年にHKT48に7期生として加入。今作で初めて選抜入りを果たした。
龍頭綺音さん プロフィール
りゅうとう・あやね 2010年生まれ、長崎県出身。24年にHKT48に7期生として加入。今作で初めて選抜入りを果たした。
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