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災害から線路を守り枕木にも使われた「鉄道林」、木材や生態系保護への活用模索…島根の廃線跡で実証実験

読売新聞 / 2024年9月8日 13時9分

実験の場となっている廃線跡と鉄道林(島根県美郷町で)=JR西日本提供

 自然災害から線路を守るJR西日本所有の「鉄道林」を森林資源として活用しようと、同社と鳥取大などが島根県美郷町の旧JR三江線の鉄道林で実証実験を始めた。線路をまたいで重機を入れて、木を伐採したり、木材として運び出したりできるかどうかなどを確認し、鉄道林の新たな可能性を模索する。(林美佑)

 鉄道林は、雪や風、土砂崩れなどによる被害を防ぐ目的で、旧国鉄時代に全国で約1万5000ヘクタールが線路沿いに整備された。鳥取県内ではなだれを防ぐ目的でJR因美線などにつくられている。

 かつては定期的に伐採が行われ、電柱や枕木に使われたり、販売されたりしていたが、近年は人件費の高騰や木材価格の低迷で利用は減少。また、落石を止める柵など土木技術で安全を確保するのが主流になり、災害が予想される場合は計画運休するため役割は低下している。

 5月から始まった実験の舞台である三江線は2018年に廃線。線路沿いの約5・8ヘクタールに樹齢約50年のスギやヒノキなどの鉄道林が残っている。

 森林は、木の種類や樹齢、地形などによって木材としての利用だけでなく、生態系の保護など様々な価値を秘める。美郷町ではイノシシなど野生動物による農作物への被害対策に力を入れており、田畑や道路に近い実験地が動物の餌場にならないよう植える種類を工夫するなど、動物との共生に向けた森林づくりも検討する。また、地域の資源として教育や観光などに活用する方策を探る。

 実験は来年3月末まで。鳥取大の山中啓介准教授(育林学)は「鉄道林に重機が入れば、その奥にあるより広い山の資源を利用できる可能性が広がる」と指摘。同大の芳賀大地助教(森林経営学)は「二酸化炭素の吸収など森林の潜在能力を広く知ってもらうきっかけにもなれば」と期待する。

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