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広島県警「技能指導官」、職務質問分野で初の女性…「女性ならではの聞き取り方伝えたい」

読売新聞 / 2024年9月8日 12時38分

技能指導官に指定された小早川警部補(広島市中区で)

 若手警察官に優れた技術を継承するために広島県警が選ぶ「技能指導官」に、県警自動車警ら隊の小早川歩美警部補が選ばれた。「職務質問等による犯罪の取締り」分野で初めての女性指導官で、小早川さんは「先輩たちから引き継いできた技術を後輩につなぎ、女性ならではの聞き取り方なども伝えていきたい」と話す。(綾木佑我)

 「職務質問」は、27ある技能指導官の種別の一つ。小早川さんは、交番勤務などを経て、警察署の地域課や自ら隊でパトカー乗務を計10年経験。職務質問で事件の芽を摘んだり、110番通報を受けて現場で対応したりしてきた。「職務質問のいちばんの目的は犯罪を未然に防ぐこと」。そう心がけてきた。性犯罪などの現場では柔軟に対応し「女性警察官が来てくれて話しやすかった」と安心されたこともある。

 大学では陸上競技に打ち込んでいたが、負傷をきっかけに中退。改めて進路を考えた時、子どもの頃に「悪い人を捕まえて誰かを守れるようなヒーローになりたい」と憧れた警察官が頭に浮かんだ。専門学校で学び、2004年に採用された。

 警察官になってから4年後の08年、東京・秋葉原の歩行者天国で、通行人が突入したトラックにはねられ、ナイフで次々刺される事件が起きた。「どこかで職務質問していたら防げたのでは」

 地域の安全を守るためにはどうしたらよいのか。思案していた頃、背中を押してくれたのが、5歳だった長女の「お母さんはパトカーに乗らないの?」という言葉だった。「悪者を捕まえる警察官はパトカーに乗っている」。子どもらしい素直な考え方に、目標が決まった。

 自ら隊員は通算7年経験。忘れられないのは4年ほど前の出来事だ。パトロール中に、うつむいて歩く中年の女性が気になり、声をかけた。すると、女性はかばんに刃物を忍ばせており、「むしゃくしゃしていて、なにかあったら刺してやろうと思っていた」と打ち明けた。結果的に、声をかけたことで事件を未然に防ぐことができたと実感できた経験で、小早川さんは「やりがいを感じたとともに、職務質問の重要さを再確認できた」と振り返る。

 「パトロール中は思い込みを排除し、気になったことがあればまず一声かけることが大切だと伝えていきたい」と指導官としての抱負を述べ、「これからも初心を忘れず、犯罪を未然に防ぐ『ヒーロー』でありたい」と語った。

 県警は8月9日、小早川さんを含む3人を新たに技能指導官に指定した。県警の指導官は39人となった。

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