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免許更新がデジタル化…「地区交通安全協」が対面勧誘の機会失い存続危機、キャッシュレス決済が追い打ち

読売新聞 / 2024年9月8日 13時16分

安協の存続を懸念する津久井交通安全協会の平栗会長(神奈川県相模原市緑区で)

 神奈川県内54警察署の管轄区域ごとに設置され、地域の交通安全活動を担う「地区交通安全協会」(安協)の存続が危ぶまれる事態になっている。運転免許証の更新時に署を訪れるドライバーを勧誘し、その会費を活動資金としてきた安協だが、勧誘機会が失われる可能性が出てきたという。何が起きているのか取材した。(石塚柚奈)

 「対面で勧誘できなくなれば、会費の確保は難しくなる。これまでのような活動もできなくなるかもしれない」。津久井交通安全協会(相模原市緑区)の平栗文夫会長はそう言って危機感を募らせる。

 安協は運転免許証の更新時、署などで収入証紙の販売の業務を担い、そこでドライバーらに活動の意義を説明して会員を集めてきた。協会を支える主な財源は、1人1500円の会費だ。

 ところが7月、県議会で「運転免許の更新手続き等に関するデジタル化の推進」として、費用5396万円を盛り込んだ補正予算案が可決された。各署では来年3月から、運転免許センター(横浜市旭区)では同8月から、免許更新手数料は収入証紙による徴収ではなく、窓口でのキャッシュレス決済が導入される見通しだ。

 県警は「県全体で収入証紙の扱いをやめる業務改善の一環。ドライバーの利便性も高まる」と説明する一方、7月の県議会常任委員会では、安協を「非常に重要な交通ボランティア団体」とし、「キャッシュレス導入について丁寧に説明し、今後も協力した活動を継続していきたい」と配慮する姿勢をみせる。

 ただ、会員を直接勧誘する機会がなくなれば、安協にとっては死活問題だ。津久井交通安全協会では、2019年度に6249人いた入会者は、23年度には約20%減の4832人と、人口減や若者の車離れなどの影響で減少。そこに今回のキャッシュレス化が拍車をかける可能性は高く、平栗会長は「入会者は一気に80%ほど減るのではないか」と危惧する。

 同協会は管内8支部、計約100人のボランティアに支えられ、年4回の交通安全運動の啓発や小学1年生へのランドセルカバーの寄贈などを行ってきた。活動を継続するためにも、市などへ補助金の増額を求めていくという。

 横浜市内の安協の事務長も会員減少を懸念し、「活動内容の変更や規模縮小を検討しなければいけないかもしれない」と語る。

 安協と協力関係にある県交通安全協会は6月、安協の認知度を上げ、会員獲得につなげるため、X(旧ツイッター)での情報発信を始めた。青山利史事務局長は「県内の交通安全のためにも、来年3月以降も(各地の安協には)踏ん張ってほしい」と期待する。

 ◆地区交通安全協会=1945年頃から、地域の交通安全活動を行う任意団体として発足。警察署内や敷地内などにあり、免許更新時の収入証紙の販売や顔写真の撮影、運転免許証の郵送業務などを担っている。メンバーは警察OBが多く、交通安全教室の開催や通学路の見守り活動など各地域で活動している。

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