大統領選へ10日に「大一番」の討論会…ハリス氏は服装もトランプ氏に模した相手と予行演習
読売新聞 / 2024年9月9日 17時15分
【ワシントン=田島大志】米大統領選の候補者によるテレビ討論会が10日、ペンシルベニア州フィラデルフィアで行われる。民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領による初顔合わせは、大統領選の今後の流れを決める「大一番」で、両陣営は入念に準備を進めている。
ハリス氏は5日から側近と同州ピッツバーグのホテルにこもり、討論会に向けた「キャンプ」を張っている。8日に記者団に状況を問われたハリス氏は「準備万全だ」と答え、親指を立てた。
出馬表明以来、ハリス氏は記者会見に応じていない。副大統領としての過去のインタビューでは質問への対応能力への不安が指摘されてきた。米メディアによると、キャンプでは服装もトランプ氏に模した男性を相手に、予行演習を繰り返している。
6月の第1回討論会後は、精彩を欠いたバイデン氏の高齢不安が一気に広がり、撤退につながった。ハリス氏は、バイデン氏と異なる清新なイメージを前面に出す構えで、トランプ氏を「飽きられた台本を繰り返し演じる古くさい役者に見せようとしている」(米紙ニューヨーク・タイムズ)。
今回の討論会に向け、相手の発言時にマイクを「オン」とするよう求めたのも、過去の討論会でトランプ氏が相手の発言を遮るなどして好感度を下げた経緯があるためだ。
一方、ハリス氏の勢いに押され気味のトランプ氏は、反転攻勢の機会ととらえている。質問への準備のため側近と議論を繰り返し、対話集会や各種メディアとのインタビューなどを重ねてきた。4日にはラジオ番組で「人生をかけて討論会のため準備してきた」と語るなど、即興での質問への対応には自信を示す。
側近らも、現政権の失政に焦点を当てて政策論争に持ち込んだ場合は有利だとみている。国民に不満が強い国境問題や物価対策に加え、石油・天然ガスの掘削などハリス氏が立場を変えた政策を取り上げて姿勢を追及する構えだ。
トランプ氏は、ハリス氏を「無能」などとおとしめるような発言を繰り返し、黒人でインド系というルーツにも触れて攻撃し世論の批判を浴びており、党内からは個人攻撃に走らないよう求める声が上がる。
現在、決まっている両氏による討論会は他になく、今回が唯一の機会となる可能性もある。両氏ともミスを犯せば挽回の機会は極めて限られており、緊迫したやりとりが交わされそうだ。
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