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中国軍領海侵入 身勝手な海洋法の解釈許すな

読売新聞 / 2024年9月10日 5時0分

 海洋に関する中国の身勝手な主張を放置していたら、日本の主権が ないがしろにされてしまう。政府は南西諸島周辺の警戒監視活動に万全を期さなければならない。

 中国軍の測量艦が先月末、鹿児島県沖のトカラ海峡に侵入し、領海内を約2時間航行した。海上自衛隊の艦艇と哨戒機が領海に入らないよう測量艦に呼びかけていたが、応じなかった。

 この5日前には、中国軍の情報収集機が長崎県沖の領空を侵犯したばかりだ。沖縄の尖閣諸島周辺では、中国海警局の船舶が頻繁に領海に侵入している。

 挑発を繰り返す中国の姿勢は断じて容認できない。日本政府が中国に抗議したのは当然だ。

 測量艦の航行について、中国外務省は「トカラ海峡は国際航行に使用される海峡だ。船の通過は正当で合法だ」と主張している。

 2016年に中国軍艦艇がトカラ海峡を航行した際も、中国は同様の主張をしていたが、トカラ海峡を「国際航行に使用される海峡」に位置づけるのは無理がある。

 国連加盟国は1982年に海洋法条約を採択する際、当時の慣行である3カイリの領海を最大12カイリに拡大することとした。ただ、その場合、幅の狭い海峡がいずれかの国の領海となり、自由な通航に支障をきたすことが懸念された。

 そこで各国は、幅の狭い海峡で、かつ海上交通の要衝を「国際航行に使用される海峡」に位置づけ、どこの国の船舶・航空機にも自由な通過を認めた。

 この海峡は「国際海峡」と呼ばれ、アジアのマラッカ海峡や英仏間のドーバー海峡が代表的だ。

 一方でトカラ海峡は、重要な海上交通路であるマラッカ海峡などと異なり、各国の航行実績が乏しいことから、日本政府は国際海峡には当たらないという立場だ。

 そもそもトカラ海峡の近くには、自由に航行できる海域があり、あえて領海を通らなくても、航行のルートは確保されている。

 日本周辺の海域は、西太平洋の権益を狙って海洋進出を強める中国にとって、重要な出入り口に当たる。中国がトカラ海峡を国際海峡だと主張するのは、潜水艦などがより自由に行動できるルートを確保する意図があるのだろう。

 中国が今後も船舶などをトカラ海峡に派遣し、使用実績を増やして通航を既得権益化することを狙っている、との見方もある。政府は、中国が法解釈を改めないのなら、国際海洋法裁判所などに提訴することを検討してはどうか。

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