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自転車の盗難対策に「ナッジ理論」…どれが施錠したくなるか、4種類の看板で実験

読売新聞 / 2024年9月10日 14時40分

自転車盗を防ごうと設置された看板(8月31日、郡山富田駅で)

 いつもカギをかけていただきありがとうございます――。こんな呼びかけで、福島県内で増えている自転車の盗難被害を減らそうとする実証実験を県警が始めた。実験に用いるのは、伝え方を工夫することで自発的な行動変容を促す「ナッジ理論」。全国的にも珍しい取り組みといい、県警は効果を期待する。(佐々木崇太)

 県警によると、県内で今年1~7月に発生した自転車盗は679件で、前年同期から163件増えた。発生場所は駅の駐輪場が30・9%と最多で、盗まれた自転車の66・6%は施錠していなかったという。

 駅駐輪場の無施錠を減らせば自転車盗も減らせるとして、県警が目を付けたのがナッジ理論だ。命令口調ではなく、おのずと鍵をかけようと思わせる4種類の文言を考えた。

 その一つが「いつもカギを――」。このほか「この駐輪場では90%以上の人がカギをかけています」「カギかけの1秒が自転車を守ります」「自転車のカギを忘れずかけよう」だ。

 実証実験は、福島大と科学警察研究所(千葉県柏市)と実施する。8月27日から11月末までの3か月間、4種類の文言を書いた看板と横断幕を、福島市や郡山市など県内の主要駅前駐輪場計14か所に設置。一定期間で文言を入れ替えて施錠率の変化を比較し、どの文言の効果が大きいのかなどを検証する。

 郡山市のJR郡山富田駅南口の駐輪場では8月27日、「この駐輪場では――」など2種類の横断幕と看板が掲げられた。黄と黒の警告色を使った目を引くデザインで、駐輪場を利用する高校生らが目をとめていた。駐輪場を利用した郡山市内の専門学校に通う男性(21)は「インパクトのあるデザイン。9割の人が施錠しているとの文言も見れば、周りに合わせようとする意識で施錠率が上がるのでは」と話していた。

 県警に協力する福島大の鈴木あい特任准教授(犯罪科学)は「合理的な行動をしやすい人間の心理状態を踏まえてデザインを考えた」と話した。県警本部生活安全企画課の赤松正広課長は「強制するのではなく、そっと後押しするような言葉で自転車盗難の抑止につなげたい」としている。県警は検証後に結果を公表する予定だ。

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