1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

大分県玖珠町の廃校、丸ごとサテライトオフィスに…宮城県の企業が立地表明で「満室御礼」

読売新聞 / 2024年9月10日 13時22分

サテライトオフィスに生まれ変わった旧森中。近く「満室」になる

 大分県玖珠町がIT関連企業を誘致するため、廃校になった中学校に整備したサテライトオフィスが近く「満室」になる。7社目となる企業が9日、県庁で立地を表明した。県内で、廃校舎が丸ごとサテライトオフィスに生まれ変わった例はなく、増える一方の廃校舎の扱いに頭を痛める自治体の注目を集めている。(秋吉直美)

 町は2018年度末、生徒数の減少を受けて町内七つの中学校をすべて廃校にし、先に廃校になっていた旧県立森高校を全面改修した「くす星翔中学校」に集約した。

 一方、大分自動車道・玖珠インターチェンジに近い旧森中学校をサテライトオフィスとして再利用しようと、20年度に環境整備に着手。商用としては県内で初めて、地域や施設を限定した高速・大容量の通信規格「ローカル5G」を導入するなどしてきた。

 旧森中には鉄筋コンクリート3階建ての南北2棟があり、20年12月にITコンサルティングの「ティーアンドエス」(本社・東京)が北棟を丸ごと使って業務を開始。22年7月にはグループ会社が南棟に入居した。

 23年度に3社、今年度もすでに1社が操業を始め、9日には、ふるさと納税業務システムや地域商社に関する事業を手がける「ビッグゲート」(本社・宮城県石巻市)が立地を表明。受け皿として準備した計約1500平方メートルが全て埋まることになった。

 各社の事業内容は農業用ドローンや地域通貨のシステム開発、コワーキングスペース(共有オフィス)の運営など様々。町を舞台にしたゲーム開発など、地域おこしにも貢献している。町の担当者は「町の政策課題を抽出して仲介を委託した業者に伝えることで、効率良くマッチングしてもらえた。福岡に比較的近いという地理的な優位性もあった」と話す。環境整備には計約1億6000万円かかったが、補助金の活用などで実質負担は約6000万円に抑えられたという。

 賃料は区画によって異なり、月5万~二十数万円。ティーアンドエスでは現在二十数人が働き、他社もそれぞれ5人程度の新規雇用を予定している。少子化に頭を悩ませる自治体にとって、企業誘致は即効性が期待できることから注目度は高く、町によると、県内外から月1、2件のペースで視察が続いているという。

 町は引き続き、他の廃校舎や空き家などへの誘致を目指す考えだ。宿利政和町長は「整備資金が課題になるが、地域の理解を得ながら、町で育った若者の受け皿になり得る企業の誘致に努めたい」と話している。

コロナでリモートワーク普及も影響

 企業が廃校舎を活用する動きは徐々に広がりを見せている。新築と比べて安価な上、広大なスペースを確保できるといったメリットがあり、コロナ禍でリモートワークが普及、定着した影響もあるようだ。

 一方、大銀経済経営研究所(大分市)の調査では、県内で2010~22年に公立の小中学校と高校計130校が廃校になり、未活用または用途不明のケースが4割近い49校に上った。廃校舎は今後も増え続けるとみられ、同研究所は「放置していると、自治体の財政負担が増すだけでなく地域活力の喪失にもつながる」と指摘する。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください