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駅に「推し活」広告、ポスター1枚なら1週間で3~8万円…市場規模は推計377億円

読売新聞 / 2024年9月10日 16時0分

大阪メトロなんば駅に出されたVチューバーの応援広告(大阪市中央区で)=宇那木健一撮影

 アイドルやアーティストのファンがお金を出し合い、駅などに広告を出す「応援広告」が注目を集めている。「推し」の誕生日や記念日を祝い、ファン同士で思いを共有する「推し活」の一つで、2019年頃から関東を中心に広がり、関西でも徐々に目にする機会が増えている。(福永正樹)

お金出し合い

 大阪市中央区の大阪メトロ御堂筋線なんば駅。構内の壁に人気バーチャルユーチューバー(Vチューバー)・青桐エイトのポスターが掲示されていた。

 ポスターはデビュー1周年を記念してファンが費用を出し合った「応援広告」だ。大阪メトロでは20年から主要駅で受け入れ、23年度の売上高は前年度比262%増。今年度もほぼ毎週申し込みがあるという。

 その対象は、アイドルからスポーツチームまで幅広い。今年6月に人気ダンスボーカルグループ「JO1」のメンバーの誕生日を祝う広告を出したグループの代表の女性(52)は「広告をきっかけに多くの人に『推し』の魅力を知ってほしい」と力を込める。

 広告の掲示情報はSNSで発信され、それを見て訪れるファンも多い。

 大阪市東住吉区の大学4年の女性(22)は「ファンの応援する気持ちが伝わってきて見ていて楽しい」と笑顔で話した。

争奪戦

 東日本を中心に駅広告を手がける「ジェイアール東日本企画」(東京)によると、応援広告は韓国発祥で、19年頃から国内で広がった。

 需要の高まりを受け、同社は22年、応援広告に特化したサービスを開始。ファンに代わって芸能事務所への画像使用の許諾申請を担うようにすると利用が急増し、23年度の取り扱いは1002団体と、前年度から3倍近く増えた。

 広告費用は、場所によって異なるが、通常のB0サイズ(縦103センチ、横145・6センチ)のポスター1枚なら1週間で約3万~8万円(税別)。ポスターは原則広告主が用意する。デジタルサイネージ(電子掲示板)や、推しにメッセージを届けられる「付箋広告」などのほか、車内広告をジャックした「推し電車」や商業施設のエントランスの大型ボードなど高額なものもあるが、枠を巡って争奪戦になることもあるという。

 同社の調査では、応援広告への関心は若者を中心に高く、23年度の市場規模は前年度を50億円以上上回る377億円と推計。担当者は「応援広告は、ファン同士の共感を生みだし、活動をさらに活性化させる。広告を出しやすい環境を整え、『推しサイクル』を生み出していきたい」としている。

関東から徐々に

 同社の取り扱いの大半は関東圏だが、関西でも徐々に増えている。

 大阪市の広告会社「グローアップ」も21年から仲介し、今年2月からの半年間で23年度実績(36件423万円)を超えた。担当者は「関東から遅れたが、関西でも認知度が高まっている。さらなる盛り上がりを期待したい」と話す。

 大阪メトロのほか、南海電鉄や近畿日本鉄道、京阪電鉄でも20年頃から応援広告を扱っている。

 一方、JR西日本は以前は各駅で受け入れていたが、23年9月以降、関西では、大阪、京都など広い場所が確保できるターミナル駅5駅に限定した。「駅利用者の滞留などが発生する場を避けて受け付けている」という。阪急電鉄と阪神電鉄は個人やファングループからの申し込みは断っている。

 近畿大学経営学部の川村洋次教授(広告論)は「『推し活』への潜在的なニーズは元々あったが、SNSの発達でファン同士で思いを共有できるようになり、拡大している。いまは交通広告が中心だが、クラウドファンディングなどで賛同者が増えると、ラジオや雑誌などより高額なメディアに広がる可能性がある」と指摘している。

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