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デブリ到達まで1週間、外に運ぶまで1週間…福島第一原発2号機で廃炉に向けた難路スタート

読売新聞 / 2024年9月10日 21時45分

デブリの取り出しが始まった福島第一原発2号機(10日、読売機から)=米山要撮影

 東京電力は10日、福島第一原子力発電所2号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的な取り出しに着手した。当初は8月22日の予定だったが、同日の準備作業中に手順ミスが判明して中断し、3週間遅れとなった。取り出しに成功すれば2011年3月の原発事故後初めて。東電は約2週間かけて原子炉内からの少量のデブリ採取を目指す。

 原発事故では1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起こり、溶け落ちた核燃料が炉内の構造物と混ざるなどして固まり、推計約880トンのデブリが発生した。デブリは極めて強い放射線を放っており、取り出しは廃炉の最難関とされる。

 計画では、最大22メートルまで伸びる釣りざお式の装置を使用。原子炉横から装置を押し込み、先端に取りつけた爪で最大3グラムの小石状のデブリの採取を試みる。

 8月の手順ミスは装置を押し込むためのパイプ(長さ1・5メートル)の接続順を誤ったことで発生した。東電は再発防止策を取った上、この日は午前6時34分に準備作業を再開。正しく接続したパイプ5本で装置を押し込み、同7時20分、原子炉内部の放射性物質を遮断する「隔離弁」まで通過させ、取り出しに着手した。作業は主に遠隔操作で行われ、隔離弁から約60センチ先まで押し込んだという。

 今後は装置をデブリに到達させるまで約1週間、つかんだデブリを取り出すまでさらに約1週間かかる見通しだ。政府と東電は51年までの廃炉完了を掲げており、試験的取り出しに着手したことで3段階ある廃炉工程のうち最後の第3期に入った。採取に成功した場合、成分や硬さなどを分析し、本格的な取り出し方法の検討材料にする。

 試験的取り出しは、当初は21年に始まる予定だったが、使用するはずだった別の装置に技術的な問題が判明。東電は3度の延期の末、炉内へのカメラ投入で実績のあった釣りざお式装置の使用を今年1月に決めた。

 福島県の内堀雅雄知事は「将来の本格的な取り出しに向けて成果を上げてほしい」とのコメントを出した。

 林官房長官は10日の記者会見で、「今後、廃炉の根幹となる最も困難な作業段階に入っていく。東京電力には、これまで以上に高い緊張感を持って対応することを求めたい」と述べた。

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