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アメリカ・フィラデルフィアの「チーズステーキ」…屋台で生まれた人気メニューです

読売新聞 / 2024年9月13日 10時8分

薄切りのリブアイステーキ、とろけるチーズをロールパンにはさんだ「チーズステーキ」

 米北東部のペンシルベニア州フィラデルフィアは、英国からの独立戦争で重要な役割を果たした歴史の街だ。独立宣言が採択され、米国憲法が制定された「建国の地」には、赤レンガ造りの建物が並ぶ。

香ばしい肉の味が口の中に

 中心部の南側にあり、映画「ロッキー」の舞台になったイタリア人街。その一角に派手なネオン看板を掲げた1966年創業の老舗レストラン「ジーノズ・ステーキ」がある。年中無休の24時間営業で、訪れた著名人らの写真が飾られている。

 看板メニューの「チーズステーキ」は、薄切りのリブアイステーキと炒めたタマネギを細長いパンにはさみ、溶かしたチーズをかける。屋外に面した席でかぶりつくと、香ばしい肉の味が口の中に広がった。

ボリュームも十分

 タマネギによって甘みと風味が加わり、チーズもしつこさを感じさせない。この絶妙なバランスが人気の () (けつ)だろう。シェフのスティーブ・ミントンさん(33)は「チーズをパンに載せただけの店もあるが、ここでは違う。チーズステーキが苦手だという人も、うわさを聞いて試しにくるよ」と誇らしげに語った。パンの大きさは25センチほどで、ボリュームも十分だ。

 チーズステーキは、1930年代にフィラデルフィアの屋台が売り出し、タクシー運転手の間で人気になったと言われる。その後は多くの店が味を競う。

 向かいにはチーズステーキを屋台で売り始めた「パッツ・キング・オブ・ステーキ」がある。ジーノズの創業者はあえてライバル店の目と鼻の先を選んだといい、二つの店は60年近く競い合ってきた。どちらも、街の愛称から「フィリー・チーズステーキ」と呼ばれる味を楽しむ観光客や地元の人でにぎわっている。

マッシュルームやピーマンなど追加できる

 チーズステーキには、マッシュルームやピーマンなどを追加することができる。ジーノズではチーズを「プロボローネ」と「ウィズ」「アメリカン」の3種類から選べる。チーズ抜きのメニューもある。

今に伝わるイタリア系移民の技術や調理法

 米国の伝統料理には、欧州からの移民が持ち込んだ技術や調理法と地元で手に入る食材を組み合わせたものが多い。感謝祭で食卓に並ぶ「ローストターキー」(七面鳥の丸焼き)、クラムチャウダー(貝のスープ)、アップルパイなどが代表例とされる。

 建国時に中心地だったフィラデルフィアには各地の食文化が自然と流れ込み、さらにアレンジが加えられた。ソフトプレッツェルやトマトパイ、豚肉とコーンミールなどを混ぜてつくる「スクラップル」といった特色のある料理がよく知られている。

 チーズステーキにもイタリア系移民の伝統が残っているという。内側が軟らかく、外側はカリッとしたロールパンは「イタリアンロール」と呼ばれる。人気店のパッツとジーノズの創業者もイタリア系だ。

 ジーノズのマネジャー、アンソニー・ロッシさん(48)は「米国のどこの家庭でもチーズステーキを作るようになった。ハンバーガーのように全国に広がったことを誇りに思っているよ」と語る。

 国内外の総支局長が、地域の自慢の味を紹介します。

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