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グラングリーン大阪「公園を中心に緑豊かな空間、住・業務・宿泊の機能が先進的に融合」…三菱地所・中島篤社長

読売新聞 / 2024年9月11日 15時45分

中島社長(東京都千代田区で)

 JR大阪駅北側の再開発区域「うめきた2期(グラングリーン大阪)」(大阪市北区)の一部施設が先行開業した。関西最後の一等地と呼ばれる広大な敷地が都市公園やオフィス、商業施設、ホテル、分譲マンションに生まれ変わる。街づくりの狙いや展望について、開発事業者9社の代表で、プロジェクトを主導した三菱地所の中島篤社長に話を聞いた。(聞き手・升田祥太朗)

ビル密度高めるよりも

 ――グラングリーン大阪の特徴は。

 「都市公園の『うめきた公園』を中心に、緑がたくさんあるのが一番の特徴だ。そもそも、都心のターミナル駅前にこれだけまとまった平面の土地が残っている事例はない。

 公園には人が集まり、憩う機能がある。うめきた公園は規模が非常に大きくゆったりとしていて、それ自体が(人々が足を運ぶ)目的になり得る場所だ。オフィスで働く人、住む人にとっても評価してもらえる空間になっている。

 もう少し密度を高めてビルを建てることも不可能ではない。しかし、空間との組み合わせによって、それぞれのビルも機能が発揮できる。開発事業者を選ぶコンペを主催した大阪市などの要望もあるが、様々なバランスを考えた時に、この形が最適だと判断した」

 ――街づくりの目標に「みどりとイノベーションの融合拠点」を掲げている。

 「緑豊かな空間があることで、インスピレーションが生まれる。自然に近い空間があることでリラックスできたり、新しい発想を生んだりする点においても有効ではないか。1人よりも複数の人が集まってコミュニケーションする方が、大きなビジネスやイノベーションを育てる上ではプラスの効果があるだろう。

 米国のセントラルパークやブライアントパークにも街の象徴となる広大な公園があるが、公園の中にちょこちょこっと、施設があるような感じだ。グラングリーンの場合は住機能、業務機能、宿泊機能があり、その真ん中に公園がある。施設の融合性ではグラングリーンの方が先進的だと思う」

 ――うめきた公園は開発エリアの半分を占める。維持管理は難しくないか。

 「スポンサー企業を募って財務面のサポートを受けながら利用も促す仕組みを取り入れた。これから始まるので、どのように運営していくかが非常に重要なポイントだが、環境だけでなく経済的にもサステナブルな公園の運営管理に挑戦していく。我々の公園の指定管理者としての期間は50年だが、さらに長い期間に向けてチャレンジしていきたい」

 ――東京の「大丸有(大手町、丸の内、有楽町)」で手がけた開発の知見は生かされているのか。

 「大丸有では『エリアマネジメント』という概念で、街全体の魅力を高める観点からイベントを企画したり、新しい施設を導入したりしてきた。たとえば、大手町は金融街のイメージだったが、スタートアップ(新興企業)も来てもらうようにした。有楽町はアートや文化のような切り口を鮮明にしていこうとしている。

 大丸有と完全に同じものをグラングリーンに持っていくということはなかったが、エリア全体を良くするために、どうやってイベントや集客をするかは常に考えないといけない。年月を経ていく中で、それぞれのビルの位置づけを変えるアイデアも出てくる可能性がある。大丸有でやってきたことが生かせるだろう」

コロナ後のオフィスのあり方

 ――オフィスがある南街区は来春に開業する。テナントの内定率は。

 「現状では見込みも含めて75%で、満足できる水準にある。コロナ禍で『オフィスはいらないのではないか?』という議論もあったが、コロナ禍を経て、経営者のオフィスに対する考え方はすごく変わった。『どうすれば社員が心地よく、かつ生産性高く仕事をしてくれるのか』ということをまじめに考えている。

 今は、出社と在宅勤務を組み合わせている会社がほとんどだと思うが、経営者はできるだけオフィスに来てほしいと思っているはずだ。人材の獲得競争が激しくなり、優秀な人材を集めるには、オフィスの機能や、立地が良くて見た目もかっこいいほうが良い、というのがコンセンサス(意見の一致)になっている。

 私も営業の立場で現地を案内しているが、『やっぱりコロナ後のオフィスにはこういうものが必要だね』と言われる。(公園の)緑に加えて、オフィスの機能としても柔軟性があり、良いタイミングで、良いものができたと感じている」

 ――グラングリーン大阪の展望は。

 「多く人に来てもらい、体験してもらって愛着を持ってもらうことが重要だ。街を作って終わりではない。特に公園部分の管理はハードルもあるが、生物多様性や脱炭素の取り組むも含めて可視化することで、日本全国や世界にも説明できる代表的な開発にしたい。来年の大阪・関西万博とも連動する形で、経済の起爆剤になればうれしい」

◆中島篤氏(なかじま・あつし) 1986年東大法卒、三菱地所入社。米国事業の中心となるグループ会社、ロックフェラーグループインターナショナルで、日本人初のトップに就いた。2023年4月から社長。趣味はフルマラソンで、過去には3時間28分台で走ったこともある。東京都出身。

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