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「737MAXの導入と機材入れ替えを着実に」「国際線は北東アジアが中心、どういう戦いをするかしっかり検討」…スカイマーク・本橋学社長

読売新聞 / 2024年9月11日 11時45分

スカイマークの本橋社長(東京都大田区で)=安川純撮影

 スカイマークは、2025年度以降、米ボーイングの次世代機「737MAX」への機材入れ替えを行い、機体の大型化で、売り上げ増を狙う。脱炭素やコスト削減だけでなく、競争が激しい北東アジア路線の就航も検討する。本橋学社長に話を聞いた。(聞き手・鈴木瑠偉)

安住すれば、ゆでガエルに

 ――次世代機への入れ替えが控えている。

 「ボーイングの737MAXを25年度以降、順次導入する。脱炭素を進める上でも有効で、コスト削減にも寄与する。外からはうかがい知れないかと思うが、航空会社にとって機材の入れ替えは非常に重い全社的なミッションになる。確実にやり遂げたい。

 機材が増えるので、神戸空港の増枠や福岡空港2本目の滑走路活用を含めた重要な拠点でのビジネスチャンスを追求し、成長を確実なものにしたい。

 スカイマークは、1996年の設立から2015年の破綻までが(ステージ)1・0、ファンドが入った新体制、コロナを経て22年12月に再上場するまでが2・0。ファンドがエグジットして、私が社長になったのが3・0だと説明している。(次世代機入れ替えは)非常に大きな節目になると思っている」

 ――社長就任後の取り組みについて。

 「人手不足の中で、若い方のライフスタイルの見直しだったり、仕事やプライベートの両立だったり、人事制度がどうあるべきか、社内で議論している。変化が激しい時代なので、前向きに働いてもらえる仕組みを作りたい。(航空業界で)第3極と言われるが、スカイマークらしさ、唯一無二なところを追求した社内風土を作る。

 会社は経営破綻後、トップダウンからボトムアップの文化になった。コロナもあり、財務的に完全に回復したとはいえない。世の中のスピードに追いつけるように変化していくことが大切だ。航空業界は、ITとは違って突然競合が現れて、脅威にさらされるということはない。だが、安住すれば、ゆでガエルになってしまう。アンテナを高くやっていきたい」

 ――国際線について。

 「優先順位としては、737MAXの導入と機材入れ替えを着実に進める。そのうえで、国際線の位置づけも検討する必要がある。神戸空港は国際化を控え、インバウンド客も来ている。国際線は、次世代機の航続距離を考えると、北東アジアでの運航が中心になる。どういった相手とどういった戦いをするか、しっかりと見極めた上で、検討する必要がある。国際線は、国内線と違って競争が激しいという認識を持っている」

一度乗ってもらえばわかる良さ

 ――国内線のインバウンド客の取り込みは。

 「遅ればせだが、大事なマーケットであり、取り込まなければならない。東京発の便もさることながら、地方発着や平日移動もある。非常に重要なお客様になり得ると考え、SNSや海外代理店との連携も含め、進めている。海外のお客様は、SNSを駆使して、自分で予約をする。よく調べているなという認識がある。そういう点では、極端に我々の知名度が低いとは思っていない。

 コロナを経て、日本のお客様が良かったことと、悪かったと感じたことがわかった。他社が減便している中で、当社は運航ができた。消極的な選択として、『スカイマークを選んだが、想像以上に良かった。フルサービスキャリア(FSC)と変わらない品質だった』という声を聞いた。一度乗ってもらえばわかる良さが当社のアドバンテージだと思う。昔のネガティブな印象が残っている方には、ぜひ乗ってもらいたい。そのための施策も考えている。

 縦軸に運賃、横軸にサービスを取ると、当社は、FSCとローコストキャリア(LCC)の間の位置にとらえてもらっている。定時運航を始め、愚直に顧客満足度を上げて、身近な運賃を提供するという取り組みをやっていく。自分の立ち位置を固めていく。得意領域を広げていくのは非常に大事だと思っている」

 ――静岡の鈴与ホールディングスが筆頭株主になった。

 「鈴与には、これまでの経緯や業界での立ち位置、役割を十分に理解して頂き、発展のために、出資してもらい、株主に加わってもらった。グループにはフジドリームエアラインズも、グラハン(空港地上支援)業務を手がける会社もある。メリットのあるところは、是々非々で協力関係を築いていきたい。

 航空業界だけのコップの中で競争をするよりは、様々なパートナーと連携できる機会があれば、進めていくことが大事だと思う。脱炭素を始め、協業が必要ならば、様々な企業との連携も検討していきたい」

 ――国内線の需要はしぼむとの予測もある。

 「国内の旅客需要が1億人超ある中で、当社の利用客は800万人。旅客ベースのシェア(占有率)は8%程度だ。当社が取っていける市場はまだまだ大きい。神戸、福岡、茨城、みやこ下地島(沖縄県宮古市)の空港では高いシェアがある。重要拠点を面で展開して、それぞれをつなぐ需要をしっかりと抑えていきたい。

 座席をいくらで売るかという管理に磨きをかけ、収益の底上げを図っていきたい。当社の場合は8割がレジャー、2割がビジネス客だ。たとえば、推し活で自分の好きなモノにお金を使う。お金を惜しまずに国内を移動する層は増えている。地方から地方、平日利用の客もある。そうしたレジャー客を着実に取り込んでいく。

 利用者の会員登録が30万を超えた。属性のほか、どこからどこに乗っているのか、情報を深彫りして、マーケティングにつなげていく。普通の会社では当然なこともまだできていない。伸びしろは大きいと考えている」

◆本橋学氏(もとはし・まなぶ) 1999年一橋大法卒、日本興業銀行(現・みずほ銀行)入行。2019年、スカイマーク取締役専務執行役員を経て、24年6月から社長。埼玉県出身。自宅に家庭菜園があり、土いじりが趣味。

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