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「リテールとシグマビジネス・マーケットの三つが柱、根本である組織風土の改革にじっくり取り組む」…ゆうちょ銀行・笠間貴之社長

読売新聞 / 2024年9月11日 14時15分

ゆうちょ銀行の笠間社長(東京都千代田区で)=野口哲司撮影

 日本郵政グループのゆうちょ銀行は、全国にある郵便局のネットワークを生かし、幅広い顧客と接点を持つ強みがある。個人向けと法人向け、市場運用の三つを事業の柱に据え、ニーズに応じた金融商品を提供してきた。笠間貴之社長に話を聞いた。(聞き手・小野卓哉)

銀行として安定的な利益を

 ――社長就任後、力を入れている取り組みを。

 「リテール(個人向け)とシグマビジネス(法人向け)、マーケット(市場運用)の三つが柱だ。根本にあるのは組織風土の改革だ。すぐに替わるわけではないので、じっくりと取り組みたい。店舗も見ないといけないし、事務センターや郵便局業務を支援するパートナーセンターといったゆうちょ銀行独自の組織もある。地方も含めて回っているところだ。

 とにかく従業員が会社を好きになって、ゆうちょのために働く誇りを持ってもらう職場づくり。それが柱につながっていく。たとえば、市場運用ならば、高い使命感があれば、いいかげんな投資をしなくなるはずだ。個人向けでも顧客本位の本質的な提案ができるようになる。1万人以上の従業員が、日本のために役立ちたいと考える積み上げが企業価値の向上につながるはずだ」

 ――金利がある世界が到来した。

 「どんな市場環境でも、銀行として安定的な利益を上げていくことが重要だと考える。運用原資は皆様の大切な貯金なので、穴を開けられない。リスクを小さくして、しっかりとリターンを稼ぐことが基本になる。

 たとえば、プライベートエクイティ(未公開株式)を扱っているが、リターンが安定しているのは、事業承継。一方、新興企業向けもやらなくてはいけない。ポートフォリオが大きくなっており、リスクの分散で対応したい。

 金利が大きく動いたことを前向きにとらえている。ただ、相場が急に動く、ボラタリティー(変動)の大きな相場では予期しないことが起こる。感度を高くしないといけない」

 ――個人向けはスマホのアプリが好調だ。

 「スマホのアプリ登録が順調に伸びている。やっぱり便利だから。送金も残高確認も簡単にできる。デジタルからリアルまで、フルラインアップでそろえて、お客様を取り残さない。デジタルからリアルへの来客誘致にもつなげていきたい。

 銀行口座が一つだけという人は少ないのではないか。クレジットカードの引き落とし口座を分けたりする。ナンバーワンの銀行として使ってもらう口座ではなく、複数口座の一つになることを目指したい。

 年金の受け取りや給与の振り込みだけでなく、資産運用商品でも、ゆうちょ銀行は頼りになるという存在を目指したい。今はネット系証券が強い分野だが、つみたてNISA(少額投資非課税制度)も対応しており、利用客が相談しやすい体制を作りたい」

地方の成長企業にも焦点

 ――法人向け(シグマビジネス)について。

 「ボランティアではなく、収益を上げるのが目的だ。会社として投資をして、リターンにつなげていく。

 海外の投資家向け説明会では、シグマビジネスに関する質問が多く出た。最近、海外の有名な投資運用会社が日本向けのファンドを作った。競争環境が厳しい中で、ゆうちょ銀行は大丈夫かという不安の声ではないかと思う。

 『首都圏だけでなく、地方の案件に焦点をあてていく』という説明をしたら、面白いと言われた。米系の目指しているところとは違う。首都圏発の新興企業はそれほどお金に困っていない。地方の成長企業は、どうやって資金調達をしたらいいかわからないところも多い。そういったビジネスで取引ができたらいい。

 たとえば、しっかりした事業基盤はあるが、後継者に悩んでいる会社がある。地方ならではの事業承継のニーズもある。大学発のベンチャーもあるはずだ。お金の出し手が1社だけでリスクを背負うのではなく、参加者を増やして一緒に盛り上げていけたらと思う。地方の金融機関にも、受け入れてもらえるのではないか」

◆笠間貴之氏(かさま・たかゆき) 1996年早大理工卒、日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行。ゴールドマン・サックス証券を経て、2015年ゆうちょ銀行執行役員、23年取締役兼代表執行役副社長を経て、24年4月から社長。運用部門が長い。岡山県出身。

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