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新宿・歌舞伎町のホストクラブ看板、客あおる違反サイズ排除へ…測量車で全てチェック

読売新聞 / 2024年9月11日 13時37分

屋根に取り付けた全方位カメラなどで周囲の看板を捕捉する測量車(8月26日、東京都新宿区で)=若杉和希撮影

 東京都新宿区が、東洋一の歓楽街と言われる歌舞伎町で屋外看板の実態調査に乗り出した。全方位カメラなどを備えた測量車を導入して無数にある看板を全てチェックする。ホストクラブ店など街の景観を損ねる悪質な看板を排除する狙いがある。(都梅真梨子)

全方位カメラ

 8月26日早朝の歌舞伎町。朝帰りの酔客がおぼつかない足取りで歩く脇を、測量車が時速10~20キロでゆっくりと進む。

 車の屋根の上に備え付けられた全方位カメラとレーザースキャナーが看板の形状などをデータ化し、車内のパソコンに送信。最終的に、看板の設置状況がわかる歌舞伎町の立体地図が作成されるという。

 良好な景観の形成などを目的とした都屋外広告物条例では、屋外に設置する看板の面積を建物壁面の3割以下と定めている。建物から空中に突き出すように設置する場合、歩行の妨げにならないよう、歩道から3・5メートル以上の高さを確保することなども義務づけている。設置にあたっては、区に事前申請する必要がある。

 だが、区によると、歌舞伎町では、ホストクラブを中心に、過度に大きいなど、明らかに条例の基準に反した看板が散見される。多くが区への申請をせずに設置されているとみられるが、看板の数が膨大で目視確認がしきれず、どこにどのような看板があるか、区が正確に把握していない状況が続いてきた。そこで今回、道路点検や地図作成に使われている測量車を活用し、初めての実態調査に乗り出した。

悪質な営業

 背景には、高額の料金を払えなくなった女性客に売春を強いるなど、悪質な営業をするホストクラブが社会問題化していることがある。

 ホストクラブの看板は、店の売り上げ上位のホストの顔写真を大きく掲載するものが多い。写真を掲載してもらいたいホストが、お気に入りのホストを有名にしたいとの顧客心理につけ込んで高額なドリンク注文を求めることがあるといい、区は、看板が悪質営業の一つのきっかけになっているとみる。区幹部は「調査を入り口に、悪質営業の撲滅につなげたい」と話す。

事故防止も

 事故防止の目的もある。札幌市では2015年、かに料理店の看板の一部が落下し、歩いていた女性の頭に当たって女性が意識不明の重体となった。区は調査を足がかりに看板設置者を特定し、点検や安全対策の徹底を促す考えだ。

 測量車による調査は3日間かけて行われ、約8キロにわたる区道沿いのビルなど約120か所に設置された看板のデータを収集した。今後、データを解析し、違反が確認された看板については年内にも改善を求める。依田治朗・区土木管理課長は、「悪質な看板については、警視庁とも連携して対応していきたい」と話した。

基準細分で確認煩雑化…中洲

 繁華街を抱える各地の自治体は、屋外看板への対応に苦慮している。

 九州一の歓楽街・中洲がある福岡市は2016年、地域の個性に応じた景観創出を目的に、市内一律だった屋外看板の規制基準を主に5区分に分け、商業地域や空港周辺ではより大型の看板を設置できるようにするなどした。だが、基準を細かく分けたことで確認作業が煩雑化。目視では限界があるとして、19年から測量車による調査に切り替えた。

2年がかりで目視調査…秋葉原

 メイドカフェで有名な秋葉原を抱える東京都千代田区では、安全性を重視。看板のネジの緩みまでチェックするとの理由から、目視調査にこだわる。ただ、徒歩で一つ一つ確認するため、1回の調査に丸2年かかる。

 直近の20、21年の調査では、落下の危険が差し迫ったものはなかったが、約9300件の看板などのうち、約4000件が無申請で、区は申請を出すよう指導した。区の担当者は、「台風や地震による被害が年々大きくなってきており、今後も安全第一で取り組みたい」と語った。

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