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富士山「絶景スポット」のシャッター街、外国人観光客と「レトロ感」生かして再生へ

読売新聞 / 2024年9月11日 15時5分

多くの外国人観光客が訪れる商店街「本町通り」(7月、山梨県富士吉田市で)

 富士山の絶景スポットとして数年前から外国人観光客が多く訪れている山梨県富士吉田市の中心商店街「本町通り」周辺に、飲食店や土産物店など20店舗近くが新たに開業する。オーバーツーリズム(観光公害)が課題となっているが、その集客力を空き店舗の多い「シャッター街」の再生に生かそうと、市が出店希望者に補助金を出す制度を始めた。市は商店街を観光の核に育てていく考えだ。(富士吉田通信部 木村誠)

 富士山に向かって延びることから「富士みち」とも呼ばれる本町通り。一帯は1960年代半ば(昭和40年頃)までは映画館もあるにぎやかな地域だったが、自動車の普及などで次第に空洞化が進んだ。現在は100軒を超える空き家や空き店舗が並ぶ。

 しかし、「看板やちょうちんなどの昭和の風情が残る商店街と富士山をバックに写真を撮影できる」と数年前からSNSで話題となり、最近では1日4000人超の観光客が訪れるようになった。結果として、無断駐車やごみのポイ捨てなどの観光公害が注目されるようになったが、市ではここに集まる外国人らを地域活性化に生かす取り組みも模索。着手したのが、空き店舗だらけの商店街の再生だった。

 昨年6月、地域振興の促進を目的に「まちづくり公社」を設立。同10月から商店街周辺の空き店舗などで新規事業を始める法人や個人を対象に最大300万~500万円を交付する補助金事業を始めたところ、これまでに計19件の申請があり、うち18件が採択される見込みとなった。

 業態は多岐にわたり、今後、飲食店やゲストハウス、土産物店、体験型のワークショップ施設などが順次オープンしていく予定だ。

 補助金を使って10月にも炭火焼きの飲食店を開業する男性(45)は、「国内外から訪れた人の記憶に残るような店にしたい」と意気込む。かつて電器店だった2階建ての店舗兼住宅を購入し、半年かけて改装した。レトロな雰囲気を残した店内で焼き鳥や煮込み料理を楽しんでもらうという。

 課題となるのは、人を呼び込むきっかけとなった「レトロ感」を損なわないようにすること。公社では、外観を保つ工事をした場合にも補助金を出している。空き店舗などの所有者と新規出店希望者のマッチングにも動き出しており、これらの事業を担当する公社役員の水越欣一さん(62)は「多くの人を魅了している景観をなるべく長く残すとともに、おもてなしもできる街にしていきたい」と話している。

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