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認知症基本計画 当事者と共に社会を住みよく

読売新聞 / 2024年9月12日 5時0分

 高齢化が進み、誰もが認知症と無関係ではいられない時代になった。認知症になっても暮らしやすい社会の実現に向けて歩を進めたい。

 政府が「認知症施策推進基本計画」をまとめた。向こう5年間の施策の基礎となるものだ。この計画をもとに、今後、各自治体が地域事情に応じた具体的な支援策を実施していく。

 基本計画は「新しい認知症観」として、「認知症になってもできること、やりたいことがあり、住み慣れた地域で希望を持って自分らしく暮らすことができる」という考え方を掲げたのが特徴だ。

 計画を策定する際には、認知症の本人や家族が議論に参加した。「認知症の人は何もわからない」といった負のイメージを前向きなものに変えたいという当事者たちの意見が反映されたものだ。

 今の社会で、認知症の人が意思を尊重されず、孤立しがちになっているのは事実だろう。そうした現状を改善していきたい。

 認知症の高齢者は、2022年の推計値で443万人に上る。認知症になる前段階の軽度認知障害の人を合わせると、1000万人を超えるとされる。認知症はもはやひとごとでは済まされない。

 計画ではまた、認知症の人が安全に外出できるよう移動手段を整えたり、社会参加の機会を確保したりすることも求めた。

 認知症の人が無理なく生活できる環境をつくれば、誰にとっても過ごしやすいはずだ。

 すでに当事者の声を街づくりに生かしている地域もある。

 和歌山県御坊市の郵便局は、局舎の壁の目立つところに、大きな赤い郵便マークを描いた。従来の看板だけでは、見落として郵便局の場所がわからなかった認知症の人がいたためだ。

 認知症になると視野が狭くなりがちで、街中にある様々な表示に気づきにくくなる場合もある。

 また、認知症になっても社会とのつながりを持ち続けるためには居場所づくりが欠かせない。

 無理のない範囲で働ける場があれば、孤立を防ぐことにもつながる。自治体は、障害者の就労支援事業所を活用するなど、働く場の選択肢を増やしてもらいたい。

 65歳未満で発症する若年性認知症の場合、現役世代で退職を余儀なくされる人が多い。生計をともにする家族への影響は深刻だ。

 企業側も認知症への理解を深めねばならない。できることを見つけて少しでも長く勤め続けられるよう配慮すべきだ。

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