そごう・西武の田口広人社長「経済合理性を基に売り場や店を作り直す」…部長級には若手を登用
読売新聞 / 2024年9月13日 0時0分
米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループ傘下で百貨店大手「そごう・西武」の田口広人社長(63)が読売新聞の取材に応じ、「店舗や人材への投資を加速させる」と語った。今後の店舗展開では、採算性の高い高級ブランドや化粧品、食料品、美術品の4分野に注力する方針を示した。(岡田実優)
そごう・西武は昨年9月、親会社のセブン&アイホールディングスがフォートレスに売却した。有利子負債が約3000億円に膨らむ厳しい経営状況に陥ったことから、田口社長は「経済合理性を基に、売り場や店を作り直す」と強調した。フォートレスの傘下入りを機に、部長級幹部への若手登用を進め、平均で10歳程度の若返りを目指すという。
旗艦店の西武池袋本店は、2025年の本格開業を目指して改装工事を行っている。高級ブランドや化粧品については、改装前より売り場面積を増やす計画だ。出店予定の家電量販店「ヨドバシカメラ」については「集客力があり、必ずシナジー(相乗効果)は生まれる」と期待する。
西武百貨店出身の田口社長は、そごう・西武ではデジタル戦略本部長などを歴任した。ヨドバシの持つ配送網との連携も視野に、ECサイトをはじめとするデジタル分野への投資も強化する考えだ。
百貨店業界、円安を追い風に売上回復
コロナ禍で臨時休業や時短営業などに追い込まれた百貨店業界だが、円安を追い風にした訪日消費の急増で息を吹き返している。
日本百貨店協会によると、今年1~7月の全国百貨店の免税売上高は、前年同期の約2・5倍の3978億円となり、すでに2023年の年間売上高(3484億円)を上回った。
訪日消費を背景に、松屋銀座(東京都中央区)の7月の売上高はバブル期を超え、過去最高となった。同店では海外でも人気の高い日本のアニメに着目し、「SPY×FAMILY(スパイファミリー)」「鬼滅の刃」といった作品の展覧会を開いて集客につなげている。大丸松坂屋百貨店は、タイの商業施設と組み、現地の富裕層の来店を促すなど、さらなる訪日消費の拡大を目指す。
一方、国内客の囲い込みに力を入れる動きもある。三越伊勢丹ホールディングスは、旗艦店「伊勢丹新宿店」(東京都新宿区)で化粧品販売を強化している。これまで1階のみだった売り場を2階部分にまで拡張。若年層に人気のある香水や韓国発ブランドも並べる。
こうした動きについて、大手百貨店の担当者は「顧客の若返りを図り、訪日客に頼らない顧客基盤を作りたい」と話す。
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