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持ち株会社に移行「法人向けの国際事業を一元的に対応、グローバル企業として覚悟を持った体制に」…NTTデータグループ・佐々木裕社長

読売新聞 / 2024年9月17日 13時27分

NTTデータグループの佐々木社長(東京都江東区で)=富永健太郎撮影

 世界でシェア(市場占有率)3位のデータセンターを始め、法人向けにIT、通信関連のサービスを提供するNTTデータは2023年、持ち株会社体制に移行した。国内向け、海外向け事業会社を傘下に置くNTTデータグループの佐々木裕社長に話を聞いた。(聞き手・上地洋実)

DXをスムーズに完遂させる

 ――経営課題について。

 「現在、グローバルに海外の事業構造を変えるトランスフォーメーションを進めている。我が社では、トランスフォーメーションオフィス(TMO)と呼んでいる。23年に海外事業を担うNTTリミテッドと旧NTTデータが一緒になり、一つの地域に2人のヘッドがいた状況から、新しい体制にシフトしており、海外事業を担うNTTデータインクの社長に(インド出身の)アビジット・ダビードゥベイ氏が就任した。彼がリードする形でDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めており、スムーズに完遂させるのが第一の経営課題だ。

 二つ目は、データセンターのビジネスが活況で、需要が旺盛にある。投資額が結構増えている。統合当時は、ここまで増えるとは思っていなかった。生成AIの需要も考えると、投資額を増やしていくことは必要だろうという判断をした。借金がかなり増えており、投資のポートフォリオ(構成)をどう配分するかが重要な課題になっている。

 三つ目は、ロンドンで開いた社内幹部を集めたイベントで『クオリティー・グロース』という題で話をした。ITの市場が伸びている中で、企業として成長を実現しなければならない。クオリティーと名付けたのは、一定の利益水準を確保する必要があると考えたからだ。営業利益率は10%に届いておらず、外資系の競合他社と比べて劣後している利益水準を高めるとともに、成長するという考えを共有した。新しい顧客や比較的大きな案件を取って成長していきたい」

 ――国際事業を見直し、持ち株会社を作った狙いは。

 「NTT本体の持ち株会社と旧NTTデータが親子上場していた。NTTリミテッドという売り上げ規模で1兆円の会社をどうやってNTTデータグループに取り込むか、少数株主の利益を損ねない結果がNTTデータインクの設立になった。

 NTTとして、法人向けの国際事業を一元的にやろうと判断した。顧客からすれば、NTTなんちゃらというのが次々に来たら、ワンフェイスのビジネスにならない。一本化すべきだと考えた。営業マンも同じ名刺で先方に向かい合うことができる。

 持ち株会社にしたのは、グローバル企業としての覚悟を持とうと考えたからだ。海外勢の競合をみても、国ごとにチームがあり、本部がある体制になっている。日本だけを特別扱いするのはやめようと考えた。国内と海外向けで二つの会社を作ってばらばらに動き出すのはまずいので、持ち株会社を作った。マーケティングや戦略作成の機能を持たせている」

生成AIで抜本的に生産性改革

 ――戦略的に投資を行う分野として生成AIを挙げている。

 「23年秋に、ジェネレーティブAIオフィスを立ち上げた。グローバルのバーチャル(仮想的)な組織で、日本人とスペイン人の2人がトップを務めている。先行的な投資を生成AIの分野で行っている。

 二つの側面で意味がある。一つは、当社がなりわいとしているシステム開発やBPO(バックオフィス業務)について、生成AIを使ってどこまで抜本的に生産性を改革できるか。もう一つは、お客様のサービスをいかに変革し、ビジネスに貢献できるか。

 顧客向けサービスという点では、現在、当社としてどういったビジネスモデルができるかを検討している。仮説をもうけて検証し、ビジネスモデルとして推し進めていきたい」

 ――NTTが開発した生成AIの基盤技術「tsuzumi(ツヅミ)」はどんな役割を果たすのか。

 「生成AIのLLM(大規模言語モデル)は、オープンAIが作ったチャットGPTのようなパブリック(公共的)なものに対して、(垂直型を意味する)バーティカルといっているが、(使い道によって)専用のLLMが育ってくると言われている。

 ツヅミは比較的、軽量なモデルなので、お客様のデータセンターの中に構築することができる。バーティカルな領域では、専用的な環境で安心な情報も扱える場として、活用してきたいと考えている」

 ――データセンターの事業構想をどう描いているか。

 「データセンターのビジネスで当社は、世界3位の位置にある。競合との違いは、様々なサービスを載せることができるということ。ツヅミもそうだが、(次世代通信基盤の)IOWN(アイオン)のようなインフラを活用することで、より省エネルギーな運営ができる。グループにおける技術を埋め込むことで、より環境に優しいサービス、その上に乗ったITサービスも提供できると思う。

 データセンターのハコを売っているだけでなく、『オープンキャンバス』というブランドですでに展開しているが、ネットワーク機器などをつけて、サーバー群として提供している。日本だけでなく、今後は海外でも展開したい」

 ――不動産投資も手がけるという。

 「不動産投資信託(REIT、リート)についても検討している。多くのデータセンター事業者が投資をするために、どうやってお金を回していくかを考えるなかで、リートをやっている。追随する形になるが、研究している最中だ。運用会社を作ることになるだろう。まずは海外のデータセンターが中心になるのではないか」

◆佐々木裕氏(ささき・ゆたか) 1990年東大院修了、NTTデータ通信(現NTTデータグループ)入社。代表取締役副社長を経て、2024年6月、社長。国内向け事業会社、NTTデータ社長も兼務する。東京都出身。40歳を過ぎて始めたテニスが趣味。

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