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「良質な預金をしっかり取り込む」「りそなイン拡充、相談特化型の土日運営拠点を作る」…りそな銀行・岩永省一社長

読売新聞 / 2024年9月17日 15時30分

インタビューに応じるりそな銀行の岩永社長(東京都江東区で)

 金利がある社会が到来した。個人にとっては、住宅ローンや借り入れ金利の上昇が見込まれる一方で、利回りが期待できる金融商品の選択肢が増える。銀行にとっては、預金の獲得がより重要になる。りそな銀行の岩永省一社長に戦略を聞いた。(聞き手・岡田俊一)

投資計画に大きな影響

 ――金利のある世界が到来した。

 「法人向けも個人向けも同じだが、金利がない前提のシミュレーションから、金利があることを想定しなければいけない。家計の人生設計も含めて、投資計画に大きな影響が出てくる。

 銀行についていえば、今までは預金と貸し出しの両方が低いままでずっと張り付いてきたが、今後は、良質な預金は、流動性が重要になってくる。これをしっかりと取り込む。守りながら増やすことが戦略上、重要になってくる。顧客接点でメインバンクだったり、メインの家計口座には質が良い預金が集中する。これをどうやって増やすかが大事になる。

 金利が高いから、あっちの銀行、こっちの銀行に移る預金は当然出てくるが、銀行が『頼むからうちに預けてください』という預金、個人ならば、給与が入ってきて支払いが出る口座や、企業ならば、支払いに使うメイン口座。貸し出しだけあって、預金はまったくないというのでは困る」

 ――個人向け口座を増やす取り組みは。

 「金利が高いからメインの口座になるとは限らない。付随する機能や便利さ、身近な存在といったことは大事だ。住宅ローンも一つで、接点を持つと、引き落としも発生する。カードを使う口座と住宅ローンの引き落としを分けると不便なはずだ。お客様が選ぶので、もちろん価値観は違う。ニーズにどれだけそろえられるかが勝負になる。

 まずは身近な存在になること。人生の中で、常にお金は必要だ。イベントごとに身近にあることは必要だし、派生するサービスへのアクセスをできるようにしないといけない。これは、スマホの中でもできたりする。りそなのホームページに行ったら、いろいろな情報があったり。

 銀行は堅苦しい窓口だけではなく、(相談窓口の)セブンデイズプラザでも始めているが、相談しやすい雰囲気作り、窓口が前に出ると緊張して帰ってしまう人もいるはずだ。新たに始める『りそな!n(イン)』という店舗も、キャッシュレスで現金は使えない。口座開設に加え、タブレット端末で事務手続きもできる」

 ――りそなインの狙いは。

 「接点作りにある。店舗の移設ではなく、接点作りを増やしていく。まずは、預金や資産運用を含めて、金融行動がこれから活発化する。でも、相談窓口は減っている。なぜなら事務処理拠点が減っているからだ。キャッシュレスで事務件数が減ると、窓口に来る人も減ってしまう。実は、相談拠点は残さないといけない。

 今までは、預金や運用をあまり考える必要がなく、銀行では店舗閉鎖が続いてきた。これからは、人生の相談に敏感になりたい。セブンデイズで相談拠点を作っていたので、それなりに経験値もある。銀行の小型版の土日営業ではなく、相談特化型の土日運営拠点を作ろうというのが、りそなインだ。

 仕掛けとして、ライフイベントや健康をテーマにしたセミナーやイベントができるスペースを確保し、セブンデイズよりも入りやすくする。ニーズに合わせて形は変えてもいい。どんどん増やすというよりは、コンセプトを持った店をつくり、お客様が興味を持つものを充実させていくという戦略だ。

 11月には奈良県、2025年1月には東京都内でオープンする予定だ。25年9月までに10店舗程度の出店を目指している」

効率経営を後押し

 ――企業の資金需要にはどう対応するか。

 「人手不足による機械化の投資など、貸し出しを中心に資金需要の伸びが顕著で、今後もその傾向は続くと考えている。日本が再び成長する局面では、融資だけでなく、戦略的な投資や企業の買収といった助言も行い、効率経営を後押ししていくことが必要だ。

 設備投資をしなくては競争力を失ってしまう。金利負担の増える中小企業にとっても投資は必要だ。企業活動を活発にして利益を出して、借り入れの返済をしてもらう。余力があれば、さらに投資をしていくという良い循環を目指すことが大切だ。将来、金利がさらに上がる可能性があれば、こうした会話は一層重要になってくるだろう」

 ――事業承継に悩むオーナー企業を買収して事業承継を支援する「りそな企業投資」は1社目のエグジットにこぎ着けた。

 「24年8月、事業承継を目指し、グループ会社が保有していた電子部品製造会社の全株式を譲渡することに成功した。もともと企業の良さを生かしながら、利益をさらに出せる会社として安定的に承継することを目指しており、高く事業を売却することは目的ではなかった。描いていた通りの良いストーリーとなり、この事例をきっかけに、ほかの案件でも実現する確度が高まるはずだ」

 ――今後の成長戦略は。

 「地方銀行を中心に、今後も他行との提携を深めていく。我々は資産運用会社も持っており、多機能な銀行だ。提携先の銀行に運用商品を販売してもらうなど、我々の機能を他行にも使って頂く。競合しない果実を提携先の銀行と共有したいと思っている。

 金利のある世界でのビジネスを描いていくことも必要だ。一方で、今後、海外の成長をどう取り込むかというのは課題で、拠点を拡充しながらチャンスを狙っていく。企業の競争力強化や事業承継などの融資以外のビジネスを広げていきたい」

◆岩永省一氏(いわなが・しょういち) 1989年明治大経営卒、大和銀行(現りそな銀行)入行。持ち株会社のりそなホールディングス取締役兼代表執行役などを経て、54歳の2020年4月、大手行では最年少で社長に就任した。休日の息抜きは観劇。東京都出身。

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