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旧優生保護法巡る係争、国と原告側が和解合意書に調印…「長年多大な苦痛と苦難を与えた」と国謝罪

読売新聞 / 2024年9月13日 18時41分

合意書の調印式に臨む(左から)原告の北三郎さん、弁護団共同代表の新里宏二弁護士、西村武彦弁護士、加藤鮎子少子化相(13日午後、東京都千代田区で)=池谷美帆撮影

 旧優生保護法に基づく不妊手術を強制されたとして浜松市の武藤千重子さん(75)と静岡県の80歳代女性がそれぞれ国に3300万円の損害賠償を求めた2件の訴訟は13日、東京高裁で和解が成立した。

 1審判決が国に賠償を命じた1650万円を2人にそれぞれ支払う内容で、和解条項には「あってはならない人権侵害を行い、長年にわたり多大な苦痛と苦難を与えてきたことを 真摯 しんしに反省する」などとする国の謝罪も盛り込まれた。

 視覚障害がある武藤さんは2人目の子どもを出産した後の1977年に手術を受けさせられたとして、2020年に静岡地裁浜松支部に提訴。80歳代女性は生まれつき耳が不自由で、30歳だった1970年に結婚式を前に手術を強制されたとして、2019年に静岡地裁に訴訟を起こした。

 和解成立後、武藤さんは東京高裁前で取材に応じ、「今夜から安心して眠れる。これからはやりたいことをやっていきたい」と喜んだ。

 旧法を違憲と断じた7月の最高裁大法廷判決以降、一連の訴訟で和解が成立したのは計3件となった。

 障害を理由に不妊手術を強制した旧優生保護法を「違憲」として国に賠償を命じた最高裁判決を受け、国と原告側が13日、係争中の訴訟の和解合意書に調印した。初提訴から6年7か月余りを経て、一連の訴訟は全面解決に向かう。

 合意書では、7月の最高裁判決の賠償額をもとに、慰謝料として原告1人当たり最大1500万円(弁護士費用を除く)、配偶者に200万円(同)を支払うとした。すでに判決が確定し、賠償額が今回定めた金額よりも低かった原告には、差額を 補填 ほてんする。

 国による謝罪の文言も盛り込まれた。手術が人権侵害だったと認め、「心身に長年にわたり多大な苦痛と苦難を与えてきたことを 真摯 しんしに反省し、心より深く謝罪する」と記した。

 また、偏見や差別の根絶に向けた検証や対策、原告側と定期的な協議の場を設けることなどについて、基本合意書を締結することも明記された。

 旧法を巡っては2018年1月以降、各地で提訴が相次いだ。こども家庭庁によると、13日に和解が成立した2件を除き、10件が係争中。今回の合意で順次和解が進む見通しで、差額を受け取れる人を含め、25人が救済される。

 今後は、原告以外の救済が課題となる。旧法に基づき手術をした被害者は約2万5000人。超党派の議員連盟が補償の対象や金額などを法案にまとめ、秋の臨時国会に議員立法で提出することを目指している。

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