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輪島市から東京・青梅に避難した日本航空大学校石川の学生ら、「地震のショック」乗り越え就職活動に奮闘

読売新聞 / 2024年9月14日 14時26分

東京都青梅市に避難し、勉学や就職活動に励む日本航空大学校石川の学生たち(青梅キャンパスで)

 元日の能登半島地震で被災し、4月に石川県輪島市から東京都青梅市に避難した専門学校「日本航空大学校石川」の学生たちが、就職活動に奮闘している。本来の学びやを失ったことで専用の設備を使えないなどの逆境を乗り越え、あこがれの航空関連企業から次々と内定を獲得し、それぞれの夢に歩みを進めている。

「皆に恩返しを」

 同校は航空業界を目指す学生向けの専門学校で、能登空港(輪島市)そばにキャンパスがある。しかし、地震で能登空港キャンパスの校舎や学生寮が損壊したため、「明星学苑」(東京都日野市)が2015年まで明星大学の一部機能を置いていた青梅校の土地と建物を無償で借り受け、仮設の寮を設置。4月から同じ学校法人が運営する日本航空高校石川とともに避難した。

 客室乗務員や空港での手続きなどを担う地上職を目指す2~3年制の「キャビンアテンダント・グランドスタッフ(CA・GS)科」2年で、石川県羽咋市出身の西元心菜さん(19)は、生まれた年に自宅庭に植えた松の木が倒れるほど地震の強い揺れに見舞われた。「地震のショックで就職活動ができなくなったこともあった」と明かす。

 それでも4月に家族と離れて単身青梅市に転居。英語や救助法などの資格取得などに力を入れて就職活動に励み、4社から客室乗務員や地上職の内定を得られた。都内に来たことで企業の面接に行きやすいメリットもあったといい、西元さんは「支えてくれた先生や家族に恩返しできるよう、就職してからも成長し続けたい」と夢を膨らませる。

図書館を「機内」に

 日本航空大学校石川にはCA・GS科のほか、航空機の製造・設計などを担う技術職を養成する「トータルモビリティ工学科」や「トータルモビリティ技術科」があり、現在は計約270人の学生が青梅キャンパスで学んでいる。

 能登空港キャンパスには客室の実物模型があったため、客室乗務員の志望者はそこで接客実習に臨むなど、実践重視の授業が行われてきた。しかし、地震で校舎のひび割れや断水が生じ、能登空港キャンパスは使えなくなった。

 学生の動揺は大きかったが、同校は冬休み明けからオンラインで授業を再開し、理解が進むよう動画やスライドを駆使して指導するなど工夫を重ねて授業の質を確保した。青梅キャンパスで対面授業を再開できたものの、CA・GS科で指導に当たる宮田雅美副学長は「当初は能登のような模型や設備がなかったため、図書館に椅子を並べて機内を模し、練習を行うなど工夫を凝らした」と振り返る。

 同校によると、今年度にCA・GS科で客室乗務員を志望する25人のうち、8月28日時点で23人が国内外の航空会社から内定を得た。また、地上職志望者は21人全員が内定を獲得し、他科の学生も航空機製造会社などから次々と内定を得ている。2社から客室乗務員の内定を得た東京都練馬区出身の内野さくらさん(20)は「先生方も被災して大変なはずなのに、迅速に対応してくれた。輪島や青梅で出会えた人たちに少しでも恩返しできるよう、常に感謝の気持ちを忘れないようにしたい」と力を込める。

 同校は、最短でも27年までは青梅キャンパスで授業を続ける予定だ。

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