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最年少は8歳、小学生も目立つオンラインゲームでの性犯罪被害…「ボイスチャット」で女性になりすまし接近

読売新聞 / 2024年9月14日 5時0分

警察庁、運営会社の対策など初の実態調査

 オンラインゲームでのやりとりをきっかけに、子どもが性犯罪に巻き込まれる被害が相次いでいる。特に小学生の被害が増えており、警察庁はゲームの仕組みや運営会社の安全対策について初めての実態調査を行い、被害防止につなげていく考えだ。(村上喬亮)

本人確認なしを悪用

 「顔から下の裸を見せてほしい」。大阪府警に2月、性的映像送信要求などの疑いで逮捕された埼玉県の少年(17)は、スマートフォンのオンラインゲームで知り合った大阪府内の小学生の女児にこう持ちかけた。

 ゲームには「ボイスチャット」という通話機能で、利用者同士のアバター(分身)が近づくと会話できる仕組みがあった。少年は女性になりすまして女児と親しくなり、互いの顔写真を交換。その後、「顔写真をネット上にさらす」と脅して、わいせつ画像を送るよう要求したという。

 府警の捜査では、少年が北海道や神奈川県の中高生ら10人以上にわいせつ画像を送らせた疑いも判明した。

 オンラインゲームを巡っては、複数人で楽しみ、面識のない人とチームを組むことも珍しくない。だが、別人の写真や名前を使って女性や同年代を装って距離を縮め、個人のSNSに誘導するケースが目立つ。

「ネットに拡散」と脅し

 警察庁によると、昨年、オンラインゲームを通じて性犯罪に巻き込まれた子どもは全国で89人に上り、統計が残る2019年の65人から約1・4倍になった。

 内訳は裸の撮影など児童ポルノ関連が41人、わいせつ行為などの青少年保護育成条例違反が30人、略取誘拐や不同意性交などの重大犯罪が15人、児童買春や面会要求などが3人だった。

 手口は「一緒に遊ぼう」「うちに来ない?」などと誘うほか、ゲームのアイテムを贈って対価としてわいせつ行為を求めたり、名前や性的画像を送らせた後に「ネットに拡散する」と脅したりする事例が多い。

 被害者の7割は中高生だが、近年目立つのが小学生の被害だ。19年の8人から年々増え、22年は15人、昨年は24人になった。最年少の被害者は8歳だった。中高生に比べると、SNS全体の中でオンラインゲームが性被害の入り口になる割合が高くなっている。

対策すり抜け

 ゲームの業界団体「コンピュータエンターテインメント協会」によると、国内業者は年齢による利用制限や、保護者が管理できる「ペアレンタルコントロール」機能などの導入を進めてきた。だが、子どもが親の端末を使うなど制限をすり抜けてゲームで遊ぶことがあるほか、海外のゲームには規制が緩いものがあり、被害が広がっている。

 被害が深刻化するなか、「現場の警察官もオンラインゲームの実態を十分に把握できていない」(警察幹部)ことから、警察庁は、国内外の約20種類のゲームを対象に調査を実施することを決めた。アカウント登録のほか通話やメッセージ、画像送信の方法など、加害者と被害者がつながる仕組みを確認する。

 運営会社の通報窓口の設置状況や、ゲームを利用できる年齢制限の有無、不適切な投稿に対する削除措置など安全対策を取っているかについても調べ、今後の対策を検討していく。

家庭でルール必要

 子どもを被害から守るため、大人は何ができるのか。

 IT事業者らでつくる「安心ネットづくり促進協議会」(東京)理事の上沼紫野弁護士は、「ゲームの禁止は子ども同士のコミュニティーを壊したり、反発を招いて親子関係が壊れたりする恐れがある」と話す。

 子どもにとってゲーム仲間は「知らない人」ではなく、学校の友人以上に大切な場合もある。一緒にゲームをしてみるなどして、対戦相手やチャットでのやり取りについて、理解を深めていくことが大切だ。

 家庭内で「ゲームで知り合った人と外で会う場合は相談する」といったルールを決めておくことも欠かせない。性的画像や暴力的表現のメッセージを探知すると、保護者らに警告が届くサービスを使う手もある。

 上沼弁護士は「子どものゲームの利用に積極的に関わることが、被害防止につながる」と話している。

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