一力棋聖世界V 中国の強豪破り新時代を開く
読売新聞 / 2024年9月14日 5時0分
中国や韓国の台頭で劣勢にあった日本の囲碁界に、希望をもたらす勝利だ。今後は、国際舞台で活躍できる若手の育成に力を入れ、囲碁人気の向上に努めてほしい。
日本の囲碁界をリードする一力遼棋聖が、国際棋戦「応氏杯世界選手権」で初優勝を飾った。
応氏杯は、世界のトップ棋士らが集い、4年に1度開催される大きな大会だ。一力棋聖は、決勝の五番勝負で中国の強豪に3連勝し、日本の棋士としては19年ぶりに主要な国際棋戦を制した。偉業に拍手を送りたい。
国際棋戦は1980年代に本格化した。日本はかつて、何度も優勝する強豪国だったが、近年は英才教育に力を入れてきた中韓に押されていた。一力棋聖は「日本の棋士でも優勝できる力はあると示せたのは大きい」と語った。
13歳でプロ入りし、27歳の現在は、天元、本因坊と合わせて三冠を保持している。小学生の頃から中国や韓国に渡り、対局を重ねて腕を磨いた。海外での「武者修行」が、国際大会でも実力を発揮できる一因にちがいない。
「日本棋院」は2013年度、国際棋戦のタイトル奪還を目指して、実力者を集めた「ナショナルチーム」を結成した。一力棋聖や国内七大タイトル独占を2度果たした井山裕太王座らも、そのメンバーとして競い合ってきた。
一力棋聖の快挙は、こうした取り組みが結実したとも言えるだろう。最近の棋士はAI(人工知能)を使った研究に熱心で、それも棋力の向上に一役買っている。
女性棋士も海外を目指すようになってきた。10歳でプロとなり、話題を呼んだ仲邑菫三段は、今年3月に韓国棋院へ移籍した。若い頃から、ライバルの多い、厳しい環境で経験を積めば、確実に力になるにちがいない。
仲邑三段は、将来性豊かな棋士を育てる日本棋院の「英才特別採用推薦棋士」の第1号だ。今後も仲邑三段に続く有望な若手を発掘するため、幼稚園や小学校で開催する囲碁教室の回数を増やすなど工夫を凝らしてもらいたい。
日本で囲碁は、平安時代に貴族の間で親しまれたという。江戸時代には幕府の保護を受け、文化として定着した。
しかし、かつて1000万人とされた日本の囲碁人口は、今では130万人まで減っている。
日本棋院は今年、創立100周年を迎えた。囲碁の人気回復のためにも、国際棋戦で勝利を重ね、注目度を高めたい。
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