ロシアが偽情報 民主的な選挙が狙われている
読売新聞 / 2024年9月14日 5時0分
偽情報やプロパガンダを用いて他国の世論や選挙結果を巧みに誘導する工作は、情報技術の進歩によって飛躍的に脅威を増した。対策を急がなければならない。
米政府は、偽情報などを流して米大統領選に干渉したとして、ロシアの国営メディア「RT」の編集長や、露連邦保安局(FSB)の元工作員ら10人と2団体に、資産凍結などの制裁を科した。
「RT」は、米テネシー州の企業に多額の報酬を支払い、大統領選で争点となっている不法移民やインフレ(物価上昇)に関する動画を作成させていたという。動画は保守的なインフルエンサーらを通じてSNSで拡散された。
一連の情報工作は、大統領選で共和党のトランプ前大統領の当選を後押しする狙いとされる。トランプ氏はロシアのウクライナ侵略を非難せず、ウクライナへの軍事支援にも消極的な立場である。
米大統領選の結果は、国際情勢にも影響を及ぼす。ロシアに有利な状況を生み出そうと、不法な手段で米国の有権者の投票行動をゆがめようとするロシアの試みを、容認するわけにはいかない。
ロシアは、2016年と20年の米大統領選にも介入したとされる。最近はさらに、生成AIの登場で「ディープフェイク」と呼ばれる偽動画の作成が容易となり、真偽の見極めが難しくなった。
インターネットやSNSが普及し、あらゆる情報が世界中に瞬時に届くようになったことで、選挙介入は米国以外にも広がった。
6月の欧州議会選を前に、数か国の極右系の政治家らがロシアから金銭を受け取り、ロシア寄りの発言をしていた疑惑が明らかになった。欧州議会選での右派勢力躍進は、ロシアの工作が影響した可能性がある。
中国やイランなどの権威主義国が、米欧や台湾などの選挙を標的にする動きも加速している。
日本も警戒が欠かせない。今年から来年にかけて、衆院選と参院選が確実に実施される。生成AIで、誰でも日本語での情報発信が可能になった。
他国の介入から自国の情報空間を守るには、技術面で対抗しなければならない。マイクロソフトやグーグルなど世界の主要IT20社は、生成AIが選挙介入に悪用されることを防ぐ対策を、業界横断で検討することを決めた。
動画の出所を明示する「電子透かし」の開発や、SNS上で偽情報を検出する技術の向上を目指すという。早期の実用化を望む。
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