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スマホで楽しむ「縦型ショートドラマ」2分の物語…国内の先駆け「GOKKO」、ビジネスを先読み

読売新聞 / 2024年9月15日 5時0分

 スマホで楽しめる短い映像作品「ショートドラマ(ショードラ)」が、若者に人気だ。動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」などに次々と新しい作品が投稿され、娯楽としてだけでなくビジネス面でも注目が集まっている。

作り手も「Z世代」 身近な話題が人気

 ショードラは1分30秒~2分ほどのドラマ作品で、スマホの縦画面で見ることを想定している。ユーチューブやティックトックに投稿されるショート動画は従来、音楽に合わせて歌ったり踊ったりするものがほとんどだった。しかし、5年ほど前に中国で物語性を持った作品が登場した。身近な話題やリアリティーのある展開が若者の心をつかんだ。

 コロナ禍でSNSの利用が爆発的に増えた日本にもブームは広がった。縦画面向けのゲームアプリや韓国発の電子コミック「ウェブトゥーン」といったサービスが人気を集めていることが背景にあった。作り手も、1990年代半ばから2010年頃までに生まれた「Z世代」と呼ばれる若い世代を中心に活躍している。

 ショードラを専門に制作する会社で、国内の先駆者的存在なのが「GOKKO」(東京)だ。コロナ禍で舞台の出演機会が激減した俳優ら6人が、21年に結成したクリエイター集団「ごっこ倶楽部」が母体となった。「ショードラの流行は必ず日本にも入ってくる」とにらみ、22年に株式会社化した。投稿した作品は6月時点で約1200本で、累計再生回数は40億回を超えている。

 出演者とスタッフを合わせて10人ほどで撮影し、テレビドラマや映画に比べて予算ははるかに少ない。作品1本の企画から配信までの期間は2、3か月程度。同時に複数の作品を手がけることができ、「低コストかつスピーディー」が強みとなっている。

 より多くの人に見てもらうため、冒頭の2~5秒を特に重視する。登場人物の感情をオーバー気味に表現して注目を引き、原則2秒以内に場面を切り替えて視聴をスキップさせない。「GOKKOが作れば100万回再生はとれる」と言い切る。

 「若者のテレビ離れ」が叫ばれて久しいが、田中聡社長(41)は「ドラマは全世界で人気のコンテンツ。テレビドラマや映画を長く感じる世代でも、作品は見たいし面白いと思っている。ショードラは一時の流行では終わらない」と分析する。

 市場調査会社「YHリサーチ」(東京)によると、ショードラの世界市場の規模は23年時点で約55億ドル(約7700億円)。29年には10倍以上の566億ドル(約7兆9600億円)になると予測されている。国内市場も23年の2000万ドル(約28億円)から、24年には1億3000万ドル(約180億円)に拡大するとみる。

 国内企業も人気に目を付け、商品説明やブランドイメージ向上に活用する。食品メーカー「フジッコ」(神戸市)は今春、自社の昆布製品を使ったレシピを紹介する作品(全3回)をティックトックなどで公開した。

 担当者は「広告感が少なく、サッと見られることで若者にも興味を持ってもらえる」とテレビCMとは異なる手応えを語る。CMの制作・放送では高ければ数億円かかる費用も、今回は数百万円程度まで抑えられたという。

 今年4月には、優れた作品を表彰する「ショードラアワード」の授賞式が東京都内で開かれた。面白さや質の高さを社会にアピールしようと、コンサルタント会社社長の長田俊哉さんらが初めて企画した。「手軽に参入しやすいショードラを通して、若い作り手たちと映像メディアをつなぎ、無名の才能を発掘したい」と話している。

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