災害時の断水 確保の手段を多様化したい
読売新聞 / 2024年9月15日 5時0分
地震などの災害時に起きる断水に備えるには、水道以外からも水を確保できる手段を用意しておくことが重要だ。
地域住民らが所有する井戸などの場所を行政が事前に把握し、非常時に活用するといった対策を強化したい。
1月の能登半島地震では、老朽化した水道管の損傷が相次いだ。道路の寸断で復旧に当たる作業員が現場に到着できず、断水が長期化して、避難所の運営や被災者の生活再建の妨げとなった。
こうした中、被災地では、住民らが所有する井戸を地域住民に開放し、自由に使ってもらうケースもあった。くみ上げた水は飲み水に適さなくても、トイレや洗濯に使う生活用水として役立った。
発生が懸念される首都直下地震や南海トラフ地震でも、大規模な断水が起きるとみられている。各地で水道管の耐震化が急務だが、実現には費用も時間もかかる。
代替水源として学校のプールを耐震化し、貯水槽として使うといった施設整備に加え、井戸水や湧き水を活用する仕組みを整えておくことも重要な課題となる。
地域防災計画で、災害時には井戸水などの地下水を活用すると定めている自治体は少なくない。
横浜市は1995年度から、所有者の同意が得られた井戸などを「災害応急用井戸」に指定し、災害時に活用する仕組みを導入している。すでに市内全域で、2000近い井戸を指定したという。
仙台市も2000年度から同様の取り組みをはじめ、11年の東日本大震災の際も断水時の水源として井戸を利用した。
国は8月に見直した「水循環基本計画」で、大規模災害時に代替水源として井戸水など地下水の活用を進める方針を明記した。井戸の登録や指定を行う際の所有者との調整方法などを盛り込んだガイドラインも作成するという。
自治体によっては、井戸の活用を決めていても、災害時の利用方法を、所有者とあらかじめ調整できていないといった例もある。国は事務的な手順だけでなく、先進事例の紹介にも努めてほしい。
既存の井戸が足りない場合は、避難所の近くに新たに井戸を掘ることも検討すべきだ。河川や池の利用が有効な場合もあるだろう。各自治体は地域の実情に応じた水源確保を進めることが大切だ。
住民への周知も欠かせない。井戸の場所を表示するプレートを掲示したり、ハザードマップに記載したりするなど非常時に活用しやすい環境を整えてもらいたい。
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