対アフリカ支援 中国の狙いは影響力の拡大だ
読売新聞 / 2024年9月17日 5時0分
中国は自国経済が低迷しても、アフリカへの巨額支援は続ける意思を鮮明にした。ただし、狙いはアフリカの自立よりも自国の影響力拡大にあるとの疑念は拭えない。
中国とアフリカ53か国による「中国アフリカ協力フォーラム」の首脳会議が北京で開かれた。
習近平国家主席は、今後3年間で約7・3兆円の資金援助を提供すると述べた。2018年の前回会議で示した支援額とほぼ同規模を維持した。
アフリカ諸国との関係を重視する姿勢が変わらないことを、内外に誇示したと言える。
アフリカは石油や銅など天然資源が豊富だ。15億人の人口は50年には24億人強となる見込みで、市場としての魅力も大きい。最近は新興・途上国の「グローバル・サウス」として国際社会で発言力を増している。
このため中国は、資源確保や中国に有利な世論形成を狙い、アフリカ各国への支援に力を入れてきた。鉄道や道路などの主要なインフラ整備のための大規模な投資が中心だった。
しかし、そうした手法の限界も明らかになりつつある。返済能力を勘案せずに大盤振る舞いを続けた結果、アフリカ側の対中債務残高が膨らみ、ザンビアやエチオピアは債務不履行に陥った。
中国による23年のアフリカ向け融資は46億ドルで、ピーク時の16年の6分の1に縮小している。融資の焦げ付きを警戒しているのは間違いないだろう。
習政権は近年、「小さくて美しい対外協力」を掲げ、情報通信や公衆衛生、環境に配慮した開発などへの支援に軸足を移そうとしている。背景には中国自身の経済事情があるとはいえ、アフリカ側のニーズが高い分野である。
アフリカの自立と成長を促すため、きめ細かな対応ができるかどうかが問われよう。
中国は国連改革でもアフリカと連携するとしている。アフリカ首脳と採択した「行動計画」に、安全保障理事会で「アフリカ代表を増やす」と明記した。
アフリカは、安保理非常任理事国10か国のうち三つの地域枠を有するが、不十分だとして改革を求めている。常任理事国入りを目指す日独など4か国「G4」も、アフリカの要求を支持している。
しかし、G4が主導した安保理改革案に反対し、改革の機運を潰してきたのは中国である。本気でアフリカを支援するなら、実際の行動で示すべきだろう。
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