損保情報漏えい いつ旧弊と決別できるのか
読売新聞 / 2024年9月17日 5時0分
損害保険の大手で、またもや不適切な慣行が
東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の損保大手4社は先月末、情報漏えいについて金融庁に報告書を提出した。漏えい件数は、計約250万件に上るという。
情報漏えいは、損保各社の内部調査で判明し、金融庁が7月に個人情報保護法と保険業法に基づき4社に報告を求めていた。これほどの規模で情報の流出が横行していたとは驚きである。
漏えいルートは、自動車販売店などが兼業する損保代理店が9割超を占める。代理店の社員が、保険契約者の証券番号や保険料といった個人情報を、保険の加入先ではない別の損保側にも電子メールで送信していた。
損保側も、情報共有は長年行われてきた慣行だからと、当然視する風潮があった。個人情報の管理に関する意識が甘過ぎる。
さらに悪質なのは、残る1割弱のルートとされる銀行系などの損保代理店を通じた流出だ。
代理店に出向中の社員が、他の損保の契約者情報を持ち出し、出向元の損保に渡していた。
損保会社は、契約者の利益を第一に考えて保険商品を推奨する責務がある。だが、自社に都合がいい契約への切り替えを促すために情報を使った事例もあるという。公正な競争を
東京海上日動や損保ジャパンでは、出向元からの依頼で漏えいしていたという。組織的な行動だったのかも調査する必要がある。
損保業界では、企業向け保険契約で保険料を事前調整していたとして、金融庁が昨年末、大手4社に行政処分を出したばかりだ。
今年1月には、中古車販売大手ビッグモーターによる保険金不正請求問題で、損保ジャパンなどが業務改善命令を受けた。
問題が噴出する背景には、大手の寡占が進んだことがある。過度にシェア(占有率)を重視した経営が強まるとともに、出向先などで情報交換する機会も増え、なれ合いが生じているためだろう。
金融庁が、相次いだ不祥事を受け、業界の改革策について報告書をまとめたのは6月下旬だ。再び不適切事案が起きたことを受け、厳正に対処するとともに、監督のあり方も再考していくべきだ。
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