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外国人「起業ビザ」、北海道で発給数アップ…和食人気追い風にワサビ大規模栽培目指す男性も

読売新聞 / 2024年9月17日 13時27分

スタートアップビザ制度を利用し道内でワサビの生産を目指すラムさん(北海道小樽市で)

 北海道内で起業を目指す外国人に1年間の在留資格を認める「スタートアップ(新興企業)ビザ」の利用が活発だ。全国で初めて手続きのオンライン化や英語での書面作成を可能にしたことが後押しとなり、20件以上に発給され、事業化が進められている。海外からの知見や技術の集積が進むことで、道内企業との相乗効果も期待される。(柳沼晃太朗)

 小樽市の海岸沿いに立つ建物に、プランターなどが並ぶ。オーストラリアで果樹生産を手がけていたアンガス・ラムさん(42)は今年3月から道の制度を利用し、ワサビの栽培に試験的に取り組んでいる。

 世界各国で高まる和食人気に着目し、本場でワサビの生産に取り組みたいと日本進出を決めた。ビジネス環境が整い、友人も多い東京での起業も検討したが、冷涼で水もきれいな北海道を挑戦の地に選んだ。

 事業に必要なビザを申請中で、近く600~700株の栽培を始める予定という。人口減少地域の廃校でより大規模な栽培を行い、地域の雇用を創出する構想もある。「ワサビ生産のビジネスモデルを北海道で確立し、世界中に普及させたい」と意気込む。

 外国人が日本で事業を行うには「経営・管理」ビザの取得が必要だ。「事務所の確保」、「500万円以上の資本金」もしくは「2人以上の雇用」が主な要件だが、観光など短期滞在ビザでは準備期間が限られる。

 スタートアップビザ制度は事前審査の上、起業に向けた進行状況を定期的に報告することなどを前提に、特例で1年間の在留資格を認める。経済産業省の事業で、現在は福岡市や愛知県など同省が認定した全国20近くの自治体が導入する。

 道は2019年に制度を始めたが、コロナ禍などで利用は低調だった。22年8月に全国で初めてオンラインによる事業計画書の提出を可能にしたほか、申請書類の英語での作成を認めるなど利便性向上でテコ入れを図った。起業に向けた銀行口座開設や物件探しなどもサポート。制度運用を担当する杉田亜耶乃さん(44)は「税理士や社会保険労務士への相談なども含め、会社経営に向けた手続きは日本語以外のやり取りが難しい場面も多い。きめ細かい支援が起業の後押しとなる」とする。

 21年度までに累計3件だったビザの発給数は、23年度末には21件に増加した。米国やデンマーク、インドなど様々な国や地域の起業家が食や観光、デジタルといった分野で事業化を目指している。問い合わせも月20~30件寄せられる。

 海外勢の起業が加速すれば、道内スタートアップの刺激や連携にもつながるとの期待もある。今年1~2月には、道や札幌市、北海道経済産業局でつくる「STARTUP HOKKAIDO実行委員会」が、国内外のスタートアップの経営者や投資家を集めたイベントを札幌市で初開催した。

 実行委で海外誘致を担当する田中美帆さん(31)は「制度を含めて北海道の独自性をアピールし、力のあるスタートアップを呼び込みたい」と語る。

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