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品種登録された「究極のバラ」の苗木を自家栽培、フリマアプリで無許可販売か…40代女を書類送検

読売新聞 / 2024年9月17日 11時30分

 品種登録されたバラの苗木を無断で増やし、フリーマーケットアプリで販売したとして、大阪府警は17日、東京都に住む40歳代の女を種苗法違反(育成者権の侵害)容疑で書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。品種登録された種苗の違法販売は近年、インターネットで横行しており、政府が規制強化を検討している。

 捜査関係者によると、女は昨年9月~今年1月、英国のバラ育種会社「デビッド・オースチン・ロージズ」が農林水産省に品種登録する「イングリッシュローズ」の一部品種を、同社の許諾を得ずに販売目的で栽培して増やし、フリマアプリで複数回販売し、同社の育成者権を侵害した疑い。

 府警は、女が利益目的で違法販売を繰り返していたとみて調べている。

 種苗法の品種登録は、花や農作物などの新品種を開発した「育成者」を保護するための制度。2021年6月には、警視庁が、茨城県の国立研究開発法人が品種登録しているシャインマスカットの苗木を許諾を得ずに販売目的で保管したほか、フリマサイトに出品して同法人の育成者権を侵害したとして、男を種苗法違反容疑で書類送検した。男は「小遣い稼ぎだった。違法とは知らなかった」と供述したという。

 「イングリッシュローズ」は華やかさや多彩な色彩から「究極のバラ」とも呼ばれ、国際的に人気が高い。フリマアプリで「イングリッシュローズ」と検索すると多数の出品があり、中には品種を一部伏せ字にした商品もある。摘発を逃れるためとみられる。

 「デビッド・オースチン・ロージズ」は日本事務所(大阪府泉南市)を通じ、読売新聞のメール取材に「日本で登録品種の自家増殖が行われ、商品化されているのを把握している」と回答。「(品種登録は)販売だけでなく増殖による搾取から我々の品種を保護する最善の方法。このシステムがあるからこそ、これから生み出す新品種の開発に大規模な投資を継続できる」と訴えた。

違法販売横行の背景に「匿名配送」

 品種登録された花や農作物の種苗はホームセンターなどで容易に手に入る。自家栽培で増やされた種苗が、フリマアプリなどで違法販売されるケースは後を絶たない。

 フリマアプリでは、送り主と受け取り側の双方が氏名や住所を明かさずに荷物を送ることができる「匿名配送」という仕組みがある。出品者の身元が分かりにくいため、自家栽培の種苗の違法販売が横行する原因になっているとみられる。

 農林水産省の有識者会議は6月、規制強化に向け、「苗木の流通ルートを把握できる仕組みの構築」や「オンライン上の取引で、登録品種を販売する際の販売者情報の明示や届出の義務づけ」などを検討するべきだとの提言を出した。

 農水省の担当者は「フリマアプリで誰でも手軽に品種登録された花などの種苗を売買できるようになっており、アプリ運営者とも連携しながら、早急に対応を進める」としている。

◇育成者権=特許権などと同じ知的財産権の一つで、農林水産省に登録した花や農作物などの新品種を独占的に利用できる権利。権利の存続期間は25年もしくは30年。種苗法では育成者の許諾なしに登録品種を増やして販売する行為などが禁止されており、違反すれば10年以下の懲役か1000万円以下の罰金、または両方が科される。

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