東京海上、情報漏えい問題を受け保険代理店への出向廃止へ…損保で初

東京海上日動火災保険

　東京海上日動火災保険が、全ての保険代理店への出向を原則廃止とする方針を固めたことが１７日、分かった。代理店を巡っては出向者による情報漏えい問題が発覚し、金融庁が関係各社に報告徴求命令を出すなど、問題視している。損害保険会社で出向を廃止するのは初めてとなる。

　東京海上日動は近く金融庁や提携する代理店に対し、正式に通知するとみられる。数年以内に、代理店の営業職や事務職など全部門への出向者をなくす方針だ。

　情報漏えいを巡っては７月、代理店に出向中の社員が他の保険会社の契約者の情報を持ち出し、自社に流していたことが発覚した。顧客情報が契約の乗り換えに使用された実態も確認された。東京海上日動は、出向者による保険契約のシェア（占有率）の獲得に向けた過度な競争が問題の一因となったと判断し、出向の廃止を決めた。

　同様の事案は、東京海上日動のほか損保大手３社でも判明し、金融庁が７月、報告徴求命令を関係各社に出した。日本損害保険協会は再発防止策として、営業活動を目的とした出向を認めないとする指針を近く公表する予定だ。

　加盟各社は指針に基づき、出向基準を厳格化する考えを明らかにしているが、保険代理店への出向を廃止するのは損保では東京海上日動が初めてとなる。